はじめに
社会人生活も板についてきた新卒2年目に気づく、手取り額の減少。実は、“ある税金“の支払いが始まることが関係しています。1年目にはなかった支払いが、6月から突然始まることで、月々の手取りに影響が出てくるのです。今回は、給与から引かれるお金の仕組みや2年目の手取りがどの程度変わるか、そして手取り減の対策についてお伝えします。
給料明細の中身を分解してみよう
まずは基本に立ち返って、「給料からどんなお金が引かれているのか」を整理してみましょう。会社から支払われる給料(=支給額)は、そのまま全額が口座に振り込まれるわけではありません。以下のような「控除」があるため、実際に受け取る金額(=手取り額)は少なくなります。
・所得税:国に納める税金。収入に応じて段階的に課税されます ・住民税:お住まいの市区町村に納める税金。前年の所得に応じて翌年から課税されます
・健康保険料:医療費の負担軽減のための保険。加入している健康保険組合によって保険料率が異なります
・厚生年金保険料:将来の年金給付に備えて支払う保険料。会社と折半で支払います
・雇用保険料:失業時などのための保険。労働者本人も一部を負担します
・介護保険料:40歳~支払いスタート。64歳までは給与から天引き、65歳からは年金から天引きされます
これらの中で、住民税だけは1年目には発生しないのがポイントです。
2年目の6月から住民税がスタート
住民税は、原則として前年の所得(1/1~12/31)に対して課税され、毎年6月から翌年5月までの12か月間で支払う仕組みです。
つまり、新卒1年目の場合、課税対象となる前年の所得がないため、住民税はかかりません。2年目になると、1年目に得た収入が住民税の課税対象になり、6月以降に「はじめての住民税」が登場するのです。この「新しい控除」が始まることで、手取り額が一気に減ったように感じる方が多いのです。
なお、住民税の課税対象期間とは、1月~12月です。4月入社の場合、2年目に天引きされる住民税の課税対象は4月から12月までの9カ月分ですが、3年目は1月から12月までの12カ月分になります。3年目は、さらなる住民税の負担増がありますので、その対策は考えておきましょう。
住民税の計算方法
住民税には、前年の所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」があります。この2つを合わせた額が、個人が納付する住民税の総額です。
- 所得割の税率:所得に対して一律10%(道府県民税+市町村民税)
- 均等割の税額:5,000円(道府県民税:1,000円、市町村民税:3,000円、森林環境税:1,000円)
これらの基準を踏まえ都道府県や市町村が定めた税率で、実際に納税する額が決まります。