はじめに
5月から6月にかけて、持ち家に住む人のもとに届くのが固定資産税の納付書。これを機に持ち家もお金がかかると意識される方は多いのではないでしょうか。持ち家にかかるコストを、あらためて整理しましょう。
持ち家のコスト
持ち家を「買ったあと」にかかり続ける主なコストは、大きく分けて以下の3つです。
1. 税金(固定資産税・都市計画税)
固定資産税はその名称のとおり、固定資産を持っている場合にかかる税金です。持ち家の場合、家の土地と建物が対象となります。「自分の所有物なのに税金がかかるなんて」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、土地は容易に増やすことができず、限られた国の資産です。そのような資産を自ら所有し活用する対価として税金の対象となっています。
税金額の基本の計算式は、以下のとおりです。
・都市計画税:固定資産税評価額×0.3~0.1%
注意したいのは、固定資産税や都市計画税のしくみを知っておかないと思わぬ支払いが発生する可能性がある点です。
新築住宅を取得した場合、当初の3年もしくは5年間に限り、一定の広さの分までは税額が半分となるルールがあるため、当初の税額は抑えられていますが、入居後4年目もしくは6年目には税額はもとに戻ります。
また、住宅の建つ土地であるという点で、固定資産税と都市計画税はともに評価額を1/6もしくは1/3にして計算できるルールがありますが、誰も住まなくなったあと、適切な手入れがなされていない空き家であると見なされた場合には、税額はもとに戻ります。
固定資産税と都市計画税は、自治体が税額を計算する「賦課課税方式」を採用していますが、自治体で行った計算が誤っているケースもあります。
少し古いデータですが、総務省「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」によると、2009年から2011年までの3年間で、97%の自治体で1人以上の固定資産税の税額修正があったといいます。間違いがあるものとして、一度ご自身でも金額を確認してみるといいでしょう。なお、税額に不服申し立てをする際は、納税通知書到着から3か月以内に行う必要があります。
2. 家の保険料(火災保険・地震保険)
火災保険と地震保険は家と家財の万が一に備えることができる保険です。地震保険は火災保険にセットで加入し、火災保険では火災だけではなく、水漏れや盗難、水災や風災、雪災などの自然災害にも備えることができます。
火災・地震保険料の基本の計算式は以下のとおりです。
「保険金額×保険料率」
注意したいのは、これから時間の経過とともに保険金額も保険料率も上がる可能性がある点です。
物価の上昇に合わせて、建物の再建費用に見合うよう保険金額を増やせば、当然ながら保険料は高くなります。くわえて、近年の自然災害の多発により、保険料率は全国的に引き上げられる傾向にあります。更新の時の値上がりに驚いた、という経験はないでしょうか。
さらに、火災保険に最近導入されたしくみで「築浅割引」がありますが、これは築10年未満の住宅だけが対象です。築年数が10年を超えると、水漏れなどのリスクが高まると見なされ、割引の適用外となります。
3. 修繕・リフォーム費用
家は買ったら終わりではなく、維持していくもの。外壁や水回りのリフォームなど、築10年、15年と経つにつれて様々な修繕が必要です。注意したいのは、築年数が経過してから修繕やリフォームを行うと、費用はかさむ可能性がある点です。
国土交通省「2023年度 建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、工事費用の平均は以下のとおりです。
・劣化や壊れた部位の更新・修繕:約46万円/件
・省エネ工事:約96万円/件
・耐震工事:約169万円/件
工事の内容によって費用にばらつきがありますね。
地域によっては、費用の水準が低いところもありますが、築年数が経過してからまとめて修繕やリフォームを行うと、修繕箇所が増える可能性があり、費用は2倍3倍になる可能性があります。
なお、国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によるとリフォーム費用の平均は137万円でした。