はじめに
毎年5月から6月にかけて手元に届く「住民税決定通知書」。見慣れない言葉が並び、つい確認を後回しにしてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、この通知書にはご自身の収入や納める税金がどう決まったのかが記されており、家計管理や節税を考える上で大切なヒントが詰まっています。今回の記事では、次の3つのポイントに絞って解説します。
- 住民税決定通知書の基本的な役割と確認すべきポイント
- 来年度の住民税負担を減らすために、今からできる具体的な節税策
- 住民税決定通知書の内容に疑問や誤りなどを見つけた時の対処法
住民税決定通知書への理解を深め、家計や将来設計に役立てていきましょう。
まずはここから確認! 住民税決定通知書の基本と見るべき3つのポイント
住民税決定通知書とは、前年(1月1日〜12月31日)の所得に基づいて計算された、翌年度に納める住民税の金額を知らせる大切な書類です。通常、毎年5〜6月頃に、その年の1月1日時点で住民票があった市区町村から送付され、会社員の方は勤務先経由で配布されるのが一般的です。この通知書で、ご自身の所得や適用された控除、そして最終的な税額がどのように決まったかが分かります。まずは、以下の3つのポイントに注目して、内容を確認していきましょう。
「所得」欄
所得欄には、給与収入や給与収入から給与所得控除額を差し引いて計算された給与所得、また、それ以外の所得について記載があります。複数の収入がある場合は、それらを合計した額が記載されています。前年の収入や申告内容に基づいているため、手元の源泉徴収票や確定申告と照らし合わせ、金額に相違がないか確認しましょう。
「所得控除」欄
所得控除とは、扶養家族の有無、支払った社会保険料や生命保険料の額といった個人的な事情を考慮して、所得から差し引かれるものです。どのような控除がいくら適用されているか、合計額はいくらかをチェックしましょう。所得控除額が大きいほど、税金の計算対象となる所得(課税所得金額)が減り、税負担が軽くなります。
「税額」欄
税額欄では、実際に1年間で納める住民税の総額を確認できます。また、内訳として「所得割額」と「均等割額」が記載されています。税額欄のなかにある「特別徴収税額」が、計算によって決まった住民税額であり、さらに必要に応じて微調整された「差引納付額」が、1年間で収める住民税の金額となります。会社員の方は、原則としてこの年税額を12で割った額が毎月の給与から天引きされます。
これら3つのポイントを確認し、ご自身の昨年の収入や申告した控除内容と合っているか、チェックすることが大切です。
「摘要欄」も見逃せない重要ポイント
また、もう一つ見逃せない重要ポイントが、通知書の下部にある「摘要欄」です。一見すると備考欄のようですが、ここには税額控除に関する大切な情報が記載されています。税額控除とは、計算された税額から直接差し引かれるもので、節税効果が大きいことが特徴です。特に、以下に当てはまる方は必ずチェックしてください。
・住宅ローン控除を受けている方
「住宅借入金等特別税額控除額」といった記載を探しましょう。所得税だけでは控除しきれなかった住宅ローン控除額が、翌年度の住民税からしっかり引かれているかを確認できます。
・ふるさと納税をした方
「寄付金税額控除額」として、寄付金額に応じた控除額が記載されているかチェックします。特にワンストップ特例制度を利用した方は、控除の全額が住民税から引かれるため、この欄の確認は必須です。
もし、ご自身が申請したはずの控除の記載がなかったり、金額に疑問があったりする場合でも、慌てる必要はありません。その際の具体的な確認方法や問い合わせのポイントについては、後の項目で解説します。