はじめに

近年、多発する自然災害により、火災保険の請求が増加しています。建物本体の損害だけでなく、門柱や塀、敷地内の物置といった付属設備への被害も見られます。しかし、火災保険に加入する際に契約内容を詳しく確認していない場合、これらの付属設備が補償対象外になることもあります。本記事では、火災保険の契約時に確認すべきポイントを解説します。


火災保険の補償対象と注意点

台風・大雨・豪雪・竜巻・雹・地震など、近年の自然災害は、いつどこに起こるかわからないほど、各地に頻繁に起きています。建物・家財自体の損害の他に、家の周りのブロック塀が倒れるようなことも起こります。火災保険には入っているものの、建物以外の損害は補償されるのかと疑問に思ったことはありませんか?

火災保険の申込書には必ず次の選択肢が書かれています。

□基礎を含まない □門・塀・垣を含まない □物置・車庫等を含まない

見てわかる通り、チェックをすると対象から外す、という書き方の選択ですから、見過ごしてチェックをしない場合は、「基礎・門・塀・垣・物置・車庫等」は補償の対象に含まれます。

気にしていなくても、含む条件になっているとは思いますが、万一保険料を抑える目的で「含まない」にチェックを入れてしまっている場合、災害時補償の対象外となってしまいますから、念のため申込時にはきちんと確認しておきましょう。

保険の対象の建物の敷地内にある上記の付属設備は補償の対象に含まれることがわかりました。では、付属設備だけの損害も対象なのでしょうか?

門、塀、垣、単独の損害は?

門、塀、垣とは、保険の対象である建物の敷地を囲い、隣地との境界としているものを指します。竜巻や暴風で塀が倒されることや豪雪による雪の重みで垣根が倒されるようなケースもあります。母屋には損害がなく、門、塀、垣のみに損害が起きた場合も補償の対象となります。損害があった時は、なるべく早めに保険担当者へ連絡しましょう。

物置・車庫の大きさに制限はある?

地方の住宅の場合、敷地が広い家も多く、物置や車庫といっても、とても大きなものもあります。大きな物置や車庫でも補償の対象になるのでしょうか?

保険の対象の建物と同一敷地内にある物置は、大きさにかかわらず補償の対象です。火災保険の保険金額を決める際に、建物の評価をするシステムが保険会社ごとに用意されています。付属設備を含む設定をして、建物の面積に合わせた評価をすると、建物に対して2%プラスした評価額が算出される仕組みになっています。一般的なイメージの物置の場合、保険金額を見直す必要はありません。

特殊な利用状況の場合、保険金額の見直しが必要なこともあります。

母屋より大きな物置の場合

敷地が広く大きな物置を有している場合、物置であれば大きさに制限はなく、建物の補償対象に入ります。このケースでは物置の評価額も加算して建物全体の保険金額を再計算する必要があるでしょう

元々住んでいた建物を壊さず家財置き場にしている場合

同じ敷地内に新しい住宅を建て、新築に引っ越したが、旧住宅は壊さず普段使わない家財などをそのまま収容している(生活はしていない)。このケースも生活していなければ母屋の物置として補償の対象となります。ただし、一般的な物置よりかなり大きい建物となるはずですので、評価額を加算して保険金額を再計算する必要があります。

住宅敷地内の「離れ」

敷地内にある「離れ」も対象です。ただし、離れだけで生活が完結できない場合です。例えば子供の勉強部屋として、また趣味の創作部屋として使用している場合、食事や入浴は母屋を利用し、炊事場等はないような離れは補償の対象です。一方、離れが独立した生活空間として使用されている場合は、大きさに関係なく別途火災保険を契約する必要があります。

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