はじめに

「防災の日」は、命を守る備えを確認する日として定着しましたが、見落とされがちなのが「資産を守る」という視点。大地震などの災害時、株式市場は大きく揺れ、冷静さを欠いた判断が資産を大きく減らすこともあります。本記事では、過去の災害における市場の動きを振り返り、投資家が平時から備えておくべきポイントや行動指針を整理しました。


防災の日に考える「資産を守る備え」

9月1日の「防災の日」は関東大震災の教訓を胸に、命を守るための備えを見直す日として定着しています。

水や食料、避難経路、安否確認の方法を確認する人は多いでしょう。けれども同じように重要なのが「資産を守る」という視点です。実際、災害が起きると、マーケットは大きく揺れます。

「災害時に利益を考えるなんて不謹慎」と感じる方もいるかもしれません。しかし、投資家として資産を守る準備をすることは、決して不謹慎ではなく、生活と未来を支える行動です。

備えがあれば、家族を守るだけでなく、得られた利益を復興支援に回すこともできます。ここでは、過去の災害における市場の動きを振り返りつつ、投資家としての備えと行動を考えていきます。

災害と株式市場:過去の事例から学ぶ

まず歴史を振り返ってみましょう。日本で大規模災害が起きた際、株式市場はどう反応してきたのでしょうか。その動きを知ることは、将来への備えに直結します。

2011年3月11日の東日本大震災では、地震発生直後に株価が10分あまりで100円以上急落。翌週には1万円の大台を割り込み、さらに福島第一原発事故の影響で1000円を超える下落となりました。東京電力株が原発事故の影響で大暴落したことを記憶されている方は多いのではないでしょうか。一方で、建設やセメントなど復興需要が見込まれる銘柄は早期に反発。日経平均が震災前の水準まで回復するのには約10か月を要しました。

1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、早朝に発生したので当日の日経平均は前日比90円安と小幅な下落でしたが、被害の大きさが明らかになるにつれて下落基調が強まり、1週間後には前日比1055円安と大きく下落。その後、地震発生前の水準まで回復したのは約10か月後となる同年の12月でした。

この2つの事例に共通するのは、「発災直後の悲観的な売り」と「数か月〜1年での回復」です。災害直後は人々が動揺してリスク回避が優勢になりますが、やがて復興需要や経済回復が市場を押し上げていきます。

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