はじめに

総裁選・補正予算・日銀会合の影響

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国内政治イベントを読み解く上で欠かせないのが、日本銀行の政策日程です。直近では2025年9月18〜19日の金融政策決定会合が控えており、円安進行や物価高の持続度合いを背景に、国債買入れや前方指針(フォワードガイダンス)の調整が焦点です。総裁選が財政拡張色を強めれば、長期金利と為替に上昇圧力がかかり、日銀の対応が市場をさらに揺さぶる可能性もあるのです。

総裁選で財政拡張色が強まれば、長期金利と為替に上昇圧力がかかり、日銀対応が市場を揺さぶる可能性もあります。石破首相辞任により不確実性が高まる中では利上げは難しい環境ですが、日銀は年内の利上げ可能性を排除しない姿勢を示しています。

投資家が注視すべき三つの時間軸

ではここで投資家が注視すべき三つの時間軸についてお伝えします。

短期(数週間以内)

候補者の政策期待に基づく「期待ラリー」が発生しやすく、円安シナリオでは輸送用機器・機械・電機など外需株が買われやすい。高市早苗氏が重視する量子技術やサイバーセキュリティ、エネルギー技術関連では、FFRI(3692)など「高市関連銘柄」への物色も見られています。ただし決選投票や組閣で予想外の展開があれば逆回転もあり得ます。

中期(数か月〜1年)

財政拡張に舵を切れば国債需給と金利上昇リスクが顕在化し、家計の実質所得を圧迫。逆に、改革色が強まれば、短期的に景気減速を伴いつつも、イノベーションや人的資本投資が評価されやすいといえます。

長期(数年スパン)

高齢化、公的債務、国際競争力といった日本の構造的課題が解決されない限り、政局はあくまで「イベント」でしかありません。長期投資家は需給の歪みを冷静に利用しつつ、構造的に強い企業を優先すべきでしょう。

政策シナリオ別の注目セクター

政治イベントは、セクターごとの資金移動を促しやすいのも特徴です。財政拡張型ですと外需株や公共投資関連、建設・防災セクターに資金が流入することが考えられます。改革・分配型ですと再エネ、デジタル、国内サービス業に注目。金利が上昇する可能性が高い際はREITや高バリュエーション株が調整圧力を受けやすいといえます。こうした「政策シナリオ別の相場の癖」を把握することが対処力につながるでしょう。

総裁選や首相交代といった政治イベントにおいて、投資家が心掛けるべきは「政策の実態」と「市場の期待値」、そして「外部環境の偶発的なインパクト」の三つを冷静に切り分けることです。円安・株高の一時的な動きを政局だけに帰すのではなく、日米交渉や海外金利動向、国内財政制約といった複合要因を重ね合わせて考える必要があります。

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