はじめに
政局変化は短期トリガーに過ぎない
政局変化は市場にとって強力な短期トリガーですが、それ自体が長期的な成長ストーリーを変えるわけではありません。むしろ、短命政権や頻繁な交代が常態化する中で、投資家に求められるのは「冷静さ」と「多面的な分析力」です。
また、日本市場は海外投資家の割合が高いため、海外投資家から見て日本の政局がどう映るのかという視点を持つことも重要です。日本政治において注意すべきは、指導者交代や短命政権の繰り返しが国民生活や企業収益の持続性に与えるリスク、いわゆるカントリーリスクです。市場は直近の期待に過敏に反応するものの、財政健全性・人口動態・国際交渉力といった長期的構造課題に抜本的な方向転換がなされない限り、海外投資家や国内機関投資家にとって政局はあくまで短期的イベントにすぎません。したがって、安易な政局期待による過剰なリスクテイクは慎重であるべきです。
長期投資家にとっては、「騒がしい今こそ、コアとサテライトの役割分担を守る」ことが肝心です。コア投資は愚直に積立を続けるか、個別株を組み入れるなら構造改革や賃上げ、サプライチェーン再編、グローバル・ニッチ領域での競争優位といった政策変化に左右されず成長が見込める企業群を選ぶのが望ましいでしょう。一方でサテライト投資では、政策の差分が効きやすいテーマをイベント期の値動きに合わせて機動的に配分する工夫が求められます。
総裁選の行方は今後注視する必要がありますが、年末に向けては補正予算や来年度予算、さらに日銀による政策修正の行方を見据えつつ、イベントに振り回されるのではなく活用してポジションを調整する。これこそが、政局リスクと向き合う投資家の基本戦略だといえるのではないでしょうか。
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