はじめに

「断捨離」は身の回りをすっきりさせるだけでなく、支出削減や時間創出につながり、浮いた資源を投資へ振り向けられます。また、リユース市場はESG投資の観点からも注目を集めています。本稿では、断捨離の経済的・投資的効果や関連企業、そして注意すべきリスクまで幅広く解説します。


断捨離ブームと投資家目線での再解釈

「断捨離(だんしゃり)」という言葉は2000年にベストセラーとなった書籍をきっかけに広まり、一般的なワードとして定着しています。コロナ禍ではステイホームに伴って断捨離した家財や不用品をリユースするというニーズが増えたことを記憶されている方も多いでしょう。

我が家でも衣替えのタイミングで、衣類の断捨離をしました。手放した洋服はリユースやリサイクルにできるだけ回しましたが、買いすぎを反省したり、リユースショップに売却したモノに関しては買った金額との差異を考えるとがっかりするモノもありました。皆様のなかでも同じような経験をされた方はいらっしゃるのではないでしょうか。また、年末に向けて断捨離に取り組もうとされている方もいらっしゃるかもしれません。

断捨離は不要な物を手放し、身の回りをシンプルにする思想ですが、その効果はライフスタイル改善にとどまりません。経済的側面から見ると、断捨離は「支出削減」や「時間節約」に直結し、その余剰資源を投資に振り向けることができます。さらにリユース市場の拡大は、ESG投資の観点でも注目すべきテーマです。

本稿では、断捨離を投資家目線で分析します。

支出削減と投資原資の確保で経済効果

断捨離の大きなメリットは経済効果です。モノを減らすことで支出削減 → 資産形成 → 投資という好循環を生み出します。

まず断捨離をすると、自分がどれだけ不要なものを買っていたか痛感します。「セールだから」「安いから」と買った服や雑貨を省みることで、無駄遣い防止の教訓となります。これは支出の構造改革とも言えるでしょう。

さらに、不要品をリサイクルショップやフリマアプリで売却すれば、投資資金が生まれます。ブランド品や電子機器は一定のリセールバリューを持ち、思わぬ投資原資となることもあります。

また、所有物が減れば維持コストが削減されます。例えば車を2台から1台に減らすだけで、保険・税金・駐車場代など年間数十万円単位の固定費削減が可能です。この固定費圧縮は投資家にとって再現性の高い節約効果です。

時間資産の創出と自己投資

断捨離の効果はお金だけにとどまりません。時間は有限の資産です。

持ち物が少ないと探し物の時間が減り、時間の節約になります。総務省の調査によれば、日本人は年間約150時間以上を探し物に費やしているとされます。モノを買うときに使う時間、買ったモノの梱包を解いてしまって片付けて管理して……というのにも時間を使います。不要な買い物が減れば、それに伴う購入・管理・片付けの時間も削減されます。

断捨離によって浮いた時間は、読書・学習・副業といった「自己投資」に充てられます。断捨離で得た時間を株式市場の勉強、財務分析、企業研究に再投資できれば、それ自体が投資リターンを押し上げる要因となります。

物が多すぎると選択肢が増え、意思決定が遅れます。ミニマルな生活は「判断疲れ」を軽減し、株式市場の勉強や財務分析に使える貴重な時間を確保できます。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]