はじめに

iDeCoやNISAなどの非課税措置拡大や、折からの株高の影響を受けて、個人の資産運用熱が高まっています。これから資産運用を始める人を対象にして、金融リテラシーを身に付けてもらうためのコンテンツ制作、ならびにセミナー開催なども盛んです。が、それと同じくらい大事なのが、情報リテラシーを身に付けることです。


SNSやマスコミ情報を疑え

近年、SNSを利用した金融詐欺が急増しています。メディアへの出演や執筆などで著名な投資の専門家の顔写真を乗せた広告が掲載され、そこにアクセスすると、登録してくれれば、あるいはメールアドレスを送ってくれれば、資産運用の指南をします、といったやりとりの末に、多額のアドバイス料をむしり取られるといった類の詐欺です。もちろん、たくさんのお金を積んだところで、有益なアドバイスは一切、行われません。

そしてなぜか、この手の詐欺に引っ掛かる人が後を絶たないのも事実です。

どうして、怪しいと思わないのでしょうか。仮に怪しいと思えなかったとしても、どうしてお金を送金する前に、本当に大丈夫なのかどうかを確認、あるいは調べようとしないのでしょうか。

もちろん、騙す側が悪いのは当然です。でも、ほんの少しでも良いので「疑う」ことをすれば、大事なお金をどぶに捨てずに済むはずです。SNSを通じた資産運用関連の広告だけでなく、新聞や雑誌、テレビなどのマスコミから流されてくる情報に関しても、まずは疑うことを心がけて欲しいと思います。

詐欺師が大手新聞のインタビューに登場

SNSではファクトチェックを一切行わず、発信者が発信したいことを自由に発信できます。詐欺を目論む連中が、不特定多数の人たちをターゲットにして、自分たちのところに誘導するような情報発信も、簡単にできます。

しかも、先に触れた成りすましも、簡単にできてしまいます。成りすましを見破るのは、その人物を個人的に知っているほど親しいか、もしくはその人の持論などを詳しく知っているかでもなければ難しいので、最初から無視するしかないでしょう。私の知っている限り、個別に投資指南などをする著名人は皆無に近いので、この手のSNS広告は、ほぼ詐欺案件と見て間違いありません。

一方、いささか見分けるのが厄介なのが、マスコミを通じて流れてくる広告です。

「マスコミの広告なら、ちゃんと審査しているから大丈夫」と思い込んでいる人は結構、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

ところが案外、これがざるだったりします。

かつてはマネー雑誌が多くの出版社から刊行されていました。今は大分、数が少なくなりましたが、そのなかには怪しい広告が掲載されていました。たとえば和牛オーナー商法はその典型です。これは出資金を払って和牛のオーナーになり、その和牛が成長して出荷された時の売却益を得るという仕組みですが、実際には飼育していた和牛の頭数と出資金の額が合わず、最終的には多くの業者が出資法違反と詐欺で摘発されました。

広告審査を行っていたはずの雑誌でさえ、この有様だったのです。また、これは私が実際に取材した事件ですが、元本保証、確定利回りという違法な外国投資信託を販売していたG&Gという会社の首謀者が、大手新聞の地方版でインタビューされ掲載されたこともありました。

また、過去に高配当を謳って多額の資金を集め、破産した企業が定期的に開催していた投資セミナーの常連講師を務めるなどしていた人物が、金や銀価格の専門家という触れ込みで、大手民放テレビ局のニュース番組でコメントをしている様子も見られます。

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