はじめに

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、自分の老後生活に不安を感じている人は82.2%にのぼります。また、メットライフ生命の「全国47都道府県大調査2024」でも、「将来の不安は何か」という質問に対し、「老後の生活」と答えた人が67.0%でトップでした。つまり、多くの人が老後に大きな不安を抱えていることがわかります。

では、実際の老後は、本当に不安ばかりの毎日なのでしょうか?実は、現在の高齢者の中には、思いのほか明るく楽しい生活を送っている人が多くいます。この調査結果と現実のギャップは、どこから生まれてくるのでしょうか?


老後に不安を抱えているのは現役世代

大きな理由の一つは、老後に不安を感じている多くが、まだ老後を経験していない現役世代だという点です。老後を実際に迎えてみると、「思っていたほど大変ではなかった」と感じる人が少なくありません。お化けが怖いのも、正体がわかるまで——それと似ています。

今、老後を過ごしている人たちが「老後は意外と楽しいよ」ともっと発信してくれれば、現役世代の不安も少しは軽くなるかもしれません。ではなぜ、老後は予想以上に「楽しい」と感じる人が多いのか、その理由を見ていきましょう。

老後の心配は取り越し苦労?

老後の不安の中心は「お金」です。前述の調査でも、「不安の内容」として「公的年金」や「生活資金」が上位を占めています。では、高齢者の多くが実際に経済的に困っているのでしょうか?

「令和7年版高齢社会白書」の60歳以上を対象にしたアンケート調査によると、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」が14.8%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」が51.1%。この2つを合わせると65.9%。つまり、7割近くの高齢者はお金の心配をあまりせずに暮らしているということです。

「家計にゆとりがなく、多少心配である」も21.8%いますが、お金に多少の心配があるのは、高齢者に限ったことではありません。この数字も合わせると、87.7%で9割近くは「深刻ではない」状態といえます。

実際に経済的に厳しい状況にある高齢者は1割程度にとどまります。このことから、老後のお金の不安は、多くの場合「取り越し苦労」とも言えます。もちろん、豊かな老後を過ごすには、一定の準備が必要です。とくに、自営業・フリーランス・非正規雇用など、年金額が少ないことが予想される人は、早めの対策が大切です。

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