趣味

戦争が生んだ〝陶器でできた幻の貨幣〟

世に出ることはなく、製造され残されたモノ

金属=貨幣のイメージを覆す貨幣が、戦時中に造られていました。

厳しい環境の中で、戦時中の人々が知恵を出し合い、製造した努力の結晶です。
時代が変わっても、大切に残されている貨幣をご紹介します。


戦争が生んだレアコイン

太平洋戦争末期に生まれた、幻の貨幣(写真上)、いったい何でできていると思いますか?

なんと、粘土を主原料とした〝陶〟貨。大きさは現在の1円玉より小さく、見た目はボタンのようです。

太平洋戦争末期、物資不足が深刻になり、特に金属類は主に軍事用が最優先。そのため、貨幣にも、別の原料が求められたのです。

実はこの陶貨には、世界的に見ると前例があります。ドイツのマイセンといえば、陶器の産地として有名ですよね。1920年頃、同地で陶貨を製造し、流通させていた記録があります。それを参考に、日本でも造られたとか。

この陶貨の研究は1944(昭和19)年に行われ、1945(昭和20)年7月より、京都府京都市、愛知県瀬戸市、佐賀県有田町の工場で製造を開始します。

約1500万枚が実際に製造されたのですが、使用に踏み切る前に終戦を迎え、廃棄命令を受け、陶貨は粉砕処分されてしまいました。ゆえに実際には世に出ることはなく、幻の貨幣となったのです。

ちなみに一銭、五銭、十銭の3種類があります。

一銭の表は富士山、壺、裏は桜花
五銭の表は菊の紋、桜花、裏は橘果実
十銭の表は菊の紋、稲穂、裏は桐(写真上)というデザインでした。

所蔵:造幣局さいたま支局

造幣局さいたま支局
埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-190-22、さいたま新都心駅から徒歩12分、9時〜16時30分(入館は16時まで)、入館無料、TEL:048-645-5899

文=佐藤成美 撮影=造幣局さいたま支局(一部) 今田壮(風来堂)

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