はじめに

「幸せに暮らしたい」これは、誰もが願うことだと思います。では、老後を幸せに過ごすためには、何が必要なのでしょうか。多くの人が思い浮かべるのは「お金」と「健康」。この2つはいずれも大切な要素で、どちらかが欠けても幸福度は下がるでしょう。

しかし、それ以外にも重要な要素があります。それが「自己決定」、つまり「人生を自分で選ぶ自由」です。老後の生活を自分の意思で決められることが、幸福度を高めるカギになるのです。では、「自分の自由にできない生活」とはどのようなものなのか。また、「できるだけ幸福に暮らすために必要なこと」は何なのかを考えていきましょう。


「自己決定」は幸福度に影響する

独立行政法人経済産業研究所のレポート『幸福感と自己決定−日本における実証研究』のデータをもとに見てみましょう。同レポートでは、年齢階層別に前向き志向と不安感との関係について紹介されています。

前向き志向は35歳以降から49歳まで低下し、50歳以降で再び上昇します。不安感は、35歳以降から49歳までが上昇し、50代以降は低下しています。年齢別の幸福感がU字カーブを描くというのは、日本だけでなく世界的にも共通の傾向です。

また、同研究には「自己決定指数」に関するデータも示されています。この数値は年齢が上がるにつれて上昇し、50代以上で相対的に高くなっています。つまり、年齢を重ねるほど、自分で生き方を決める割合が増えているということです。これは、人生における「決定権」が自分にある状態を指します。そして、その自己決定力が高いほど、幸福度も高いという結果が示されています。

「いつまで働くのか」「どんな仕事をするのか」「どのように暮らすのか」——これらを自分の意志で選べることが、幸福感を支えているのです。

「自由に暮らせる」ことが幸福度を上げるカギ

私の父を例にしてみましょう。母が亡くなったとき、父には「子どもたちと同居するか」「一人で暮らすか」という選択がありました。不安はあったものの、父は自由気ままな一人暮らしを選びました。

一人暮らしの良さは、自分のペースで生活できることです。外出するかどうか、どんなテレビ番組を見るかも自由。99歳の父は、野球・ゴルフ・将棋などのスポーツ番組を見たり、タブレットで麻雀や将棋のゲームを楽しんだりしています。食事もすべて自分で決めます。準備は大変ですが「自分で選べる」という自由があります。

さらに、エンディングノートも書いており、終末期の治療についても自分の意思で決めています。老後において、「自分で決めることができる」というのは、幸福度を上げる大きな要因だと感じます。

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