はじめに
2026年度の税制改正大綱に、少額投資非課税制度(NISA)の拡充として「こどもNISA」が盛り込まれたことに注目が集まっています。2027年スタートと報道されており、詳細は今後詰められていく段階ですが、本稿では現時点で想定されている制度概要と活用法について考えていきましょう。
「こどもNISA」が2027年に登場?その概要とは
仮称「こどもNISA」は、2026年度税制改正大綱における「少額投資非課税制度の拡充」の一環として盛り込まれました。現行NISAの口座開設可能年齢は18歳以上ですが、こどもNISAは0歳から17歳までを対象とする方向で検討が進められています。幼児などが自ら口座管理を行うことはできませんので、親や祖父母が子ども名義の口座を開設し、管理する仕組みになると考えられます。
こども名義の非課税制度といえば、2023年に廃止された「ジュニアNISA」があります。0歳から18歳未満の子ども名義の口座で、親や祖父母が管理するという立て付けは、今回検討されているこどもNISAと共通しています。
「なぜ一度廃止された制度を再び設けるのか」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。しかし、ジュニアNISAで課題とされた「使い勝手の悪さ」が改善された制度としてこどもNISAを捉えると、理解しやすくなります。
ジュニアNISAの「使いづらさ」は解消されたか
ジュニアNISAの使い勝手の悪さの原因は、筆者は「二つの矛盾点」にあったと考えています。それは、18歳まで原則引き出しができなかった点と、非課税期間が5年に限られていた点です。
例えば、5歳の子ども名義でジュニアNISAを開設し、毎月一定額を教育資金目的で投資信託に積み立てていたとしましょう。ジュニアNISAの非課税期間は、投資した年を含めて5年間です。5歳時に購入した投資信託は10歳まで、6歳時に購入したものは11歳までしか非課税で運用できませんでした。
では、非課税期間が終了した後はどうなるのでしょうか。原則としてジュニアNISA口座内に設定された課税口座へ移されてしまうため、非課税で保有を継続するには、金融機関へ申し出て、同じくジュニアNISA口座内に設定されたもうひとつの「継続管理勘定」に移す必要がありました。
この手続きが分かりにくく、結果として非課税期間終了後に課税されてしまい、不満を感じた方も少なくありませんでした。なお、制度廃止が決まった後は、手続き不要で自動的に継続管理勘定へ移される仕組みに改められましたが、「改善が遅すぎた」と感じた方も多かったのではないでしょうか。
また、仮にこのお子さんが中学受験をすることになり、ジュニアNISAの資金を引き出したい場合でも、原則として18歳まで引き出しは認められていませんでした。引き出し制限についても、制度廃止決定後に撤廃されましたが、こちらもやはり「遅すぎた改善」と言わざるを得ません。
こどもNISAではどのように改善された?
では、新設が予定されているこどもNISAはどうでしょうか。
まず非課税期間については、18歳になるまでを想定し、その後は成人用NISAへ移行できる仕組みが検討されています。これにより、実質的には非課税期間が無期限となる点が、大きな改善ポイントといえるでしょう。
引き出しについては、12歳以降から一定の条件のもとで可能とする案が報じられています。子どもが払出しに同意したことを示す書面とともに、親や祖父母など口座を管理する者が金融機関に申請することで、引き出しが認められる仕組みが想定されています。
仮に12歳以降から引き出しが可能となれば、大学資金に限らず、中学受験や高校進学といった幅広い教育資金への活用も現実的になります。
年間投資枠については、ジュニアNISAが80万円だったのに対し、こどもNISAでは60万円程度、対象期間中の非課税投資上限は600万円とする案が検討されています。また、対象商品については、成人用NISAの「つみたて投資枠」と同様の内容とする方向性が示されています。