はじめに
物価が上昇する一方で、給料はそれに見合うほどには上がらないケースも多いのが現状です。そのため、「収入のせいで、お金が貯まらないのではないか」と考える人もいるでしょう。しかし、同じ年代で同じくらいの収入でも、「貯蓄ゼロ」の人もいれば、「貯蓄1000万円以上」の人もいて、大きな差があるのです。
ではいったい、その差はどこにあるのか? 紐解いていきましょう。
同じ年代、同程度の収入でも「貯蓄ゼロは約2割」「貯蓄1000万円以上は約3割」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2024年)の[単身世帯調査]によると、30代で年収500万~750万円未満の一人暮らしでは、「貯蓄がない人」が19.6%いる一方で、「貯蓄が1000万円以上ある人」は27.5%もいます。
・30代:年収300~500万円未満…貯蓄ゼロ26.3%、貯蓄1000万円以上15.0%
年収500~750万円未満…貯蓄ゼロ19.6%、貯蓄1000万円以上27.5%
・40代:年収300~500万円未満…貯蓄ゼロ28.8%、貯蓄1000万円以上20.2%
年収500~750万円未満…貯蓄ゼロ8.9%、貯蓄1000万円以上59.9%
この数字を見て、「同じ年代で同程度の年収なのに、これほど違うのか」と驚いた人もいると思います。
では、「貯蓄ゼロ」と「貯蓄1000万円以上」の差は、いったいどこにあるのか。お金が貯まる人と貯まらない人に、お金の使い方や貯め方、増やし方を多数取材してきた筆者が、その境界線の傾向をお伝えします。
「自然に貯まる仕組み」があるかどうか
まず大きく異なるのが、「自然に貯まる仕組み」を構築しているかどうかです。「貯蓄ゼロの人」は、「お金が貯まるといいな」と思いながらも、「余ったら貯めよう」と考えがちです。しかし、物価高が続き、魅力的な商品やサービスが溢れる現代において、強い意志だけでお金を残すのは至難の業といえます。
「使いたい」という欲求と「貯めたい」という目標を両立させるには、「自然に貯まる仕組み」を構築することが不可欠なのです。
「1000万円貯蓄がある人」は、「まず貯めて、残ったお金で暮らす」ことが習慣化しています。「毎月3万円は自動積立定期預金で貯める」「毎月2万円はNISAで積立投資をする」といった具合に、給与が入った時点で自動でお金が貯まる、または投資していくシステムを作っているのです。
この仕組みを取り入れると、手元で使えるお金は当然減りますが、限られた予算の中で、優先順位の高いものにお金を使うようになるため、日々の満足感が大きく下がることはないでしょう。つまり、浪費家と節約家という違いではなく、「貯まる仕組みがあるか」の違いなのです。
「固定費」の見直しが長期的な差を生む
支出の中で「固定費」という言葉を聞くことがあるでしょう。固定費とは、毎月ほぼ一定額出ていくお金のことで、住居費(家賃や住宅ローン)、水道光熱費、スマホ代、保険料、習い事代、サブスクリプション代などがあげられます。
これらのお金は、一度契約したら見直す機会が少なく、その後ライフスタイルが変わっても不要なサービスに支払い続けているケースも少なくありません。
「固定費」ではなく、日々の食費や洋服代などの「流動費」を減らすには、毎回ストレスがたまって長続きしないものです。月1万円の食費を減らすことは、至難の業でしょう。
しかし、固定費の削減は、契約の見直しなどに多少のストレスはありますが、それを乗り越えれば、翌月以降も節約効果が続きます。例えば、固定費で月5000円を削減できれば、年間で6万円、10年で60万円も浮くことになります。
固定費を見直すには、クレジットカードの支払い明細や銀行の自動引き落とし、スマホ料金の引き落としなどにまぎれて、忘れている支出がないかをチェックしましょう。月数百円ずつでも下げられると積もり積もって大きな節約につながります。