はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
二十歳になった息子の資産運用について質問です。息子が小さい時から少しづつ貯蓄してきた預金があります。成人を期に本人に管理させようと思っています。せっかく貯まったお金ですから、彼の将来に役立ててほしいと思っています。10年以上の先の将来に使うと想定した場合のよい運用方法をアドバイスいただけますでしょうか?
私の調べた範囲では、これからの物価上昇や日本の世界的ポジションの変化をリスクと捉え、物価連動の国債ファンドや世界先進国の株、債券を組み込んだバランス型ファンドなどが候補になるのではと思っています。
(60代以上 既婚・子供1人 男性)
内藤: ご質問ありがとうございます。ご指摘の通り、長期の資産運用となるとマーケットの目先の動きだけではなく、中長期の経済の変化や技術進歩など想定できない動きにも対応していく必要があります。
運用する資産の額にもよりますが、1,000万円程度までは金融商品を組み合わせて資産運用するとよいと思います。1,000万円を超えた資産に関しては、金融資産だけはなく不動産のような実物資産も組み合わせた投資をおすすめいたします。
お任せファンドの注意点
金融資産は、マーケットの効率性が高く、“人を出し抜く”投資が難しいという特徴があります。
個別銘柄に投資しても市場平均に勝てるのは半分以下の投資家しかいません。金融資産では、インデックス運用と呼ばれる市場の平均値に連動した資産運用を基本とし、インデックスファンドを組み合わせた投資が基本です。
ご質問にあったバランス型ファンドは、株式、債券などを組み合わせた「お任せファンド」です。それぞれの資産の配分比率がどうなっているのか? 運用はインデックス連動型か、年間の信託報酬はどれくらいか、といった点をチェックしましょう。
ただし、バランス型ファンドは自分で配分比率を決められないという欠点があります。そのため、私はそれぞれ投資対象のインデックスファンドを自分で組み合わせる方法を提案しています。例えば日本株10%、日本債券30%、外国株30%、外国債券10%、その他の資産20%といった配分比率です。
プロにもしっかり相談を
一方、不動産投資では金融商品とは逆に積極的に物件を研究することで投資の成果を高めることができます。国内だけではなく海外にも資産を保有することで、円安リスクにも対応できます。
といっても、いきなり不動産を購入されるのはハードルが高いでしょう。まずはセミナーに出たり、書籍を読んだりして、知識を習得しましょう。海外であればスタディツアーのような機会を利用して最新の情報収集をすることが大切です。
最初は金融資産中心に運用を始め、知識が高まり自信が出てきたら不動産にも対象を広げるのがオーソドックスなアプローチ方法です。
また、資産運用に関しては我流で行うのではなく、専門家のアドバイスが必要です。ファイナンシャルプランナーのような信頼できるお金の専門家と一緒に資産運用を進めていくことが、失敗しないためには有益だと思います。