はじめに

黒字の「本物度」を見極める4STEP

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黒字転換という現象は一つでも、その中身は千差万別だとわかります。

市況の追い風によるものか、SaaSのストック収益の結実か、事業ポートフォリオ見直しによる収益性改善か、輸出企業が逆風下で踏みとどまった結果なのか。投資家が期待するリターンの源泉も、取るべきリスク管理の手法もそれぞれ異なります。だからこそ、黒字転換投資は、単なる「赤字→黒字」というラベルで選ぶのではなく、黒字の「種類」で選ぶべきテーマになります。ただ、業績転換の絶好のタイミングであることは間違いないので、注目する価値は大いにあるでしょう。

では、黒字転換銘柄を個人投資家が実践的にフォローする際、何を見ればよいのでしょうか。決算短信や説明資料を見る順番を少し工夫してみてはいかがでしょうか。

第一に、損益計算書で「本業の儲けである営業利益が黒字化しているか」を確認します。

第二に、キャッシュフロー計算書で「営業キャッシュフローが黒字か」を確認します。
仮に、営業利益が黒字でも、売掛金が膨らんで営業キャッシュフローが赤字なら、実態としての資金繰りは改善していません。

第三に、貸借対照表で自己資本比率や有利子負債の状況、短期資金の必要性を確認します。

最後に、決算説明資料などを読み込んで、一過性の要因による利益の押し上げがないか、今後の成長エンジンは何かを点検します。

この一連の流れをルーティン化することで、黒字転換の「本物度」をかなりの精度で見極められるようになります。

最高益が持続する条件と投資家が取るべきアクション

黒字転換投資の妙味は、「市場の見方が変わる瞬間」を捉える可能性にあります。

多くの投資家は、赤字企業に対しては慎重で、ポジションサイズも小さくなりがちです。しかし、黒字化が見えてくると、企業側は強気のガイダンスを提示しやすくなり、金融機関との関係も改善し、採用活動や取引条件の交渉にもプラスに働くことがあります。

つまり、黒字転換は、単なる損益だけでなく、企業の選択肢そのものを増やし、拡大させるのです。これは中長期的な企業価値向上に効いてきます。

一方で、落とし穴もあります。黒字転換の直後は、会社も投資家も過度に強気になりやすく、コストを再び増やして利益が剥落するケースもあります。

あるいは、黒字化達成で材料出尽くしと判断され、株価が伸び悩むこともあります。だからこそ、投資家は、黒字転換を「イベント」として消費するのではなく、「安定的な黒字が続く確率」を高める要因を、冷静に探す必要があります。

この記事が皆様の投資戦略の一助となれば幸いです。

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