はじめに

不足分の見積もり方:「月の収支」と「年に数回の特別費」を分ける

不足額は、「毎月の支出 − 毎月の収入」で算出できます。大切なのは、支出をどれだけ正確に把握できているかという点です。

まず遺族年金を月14万円と仮置きしたうえで、家賃や光熱費などの固定費を整理していきます。食費や日用品費といった変動費は、平均額ではなく「ここまでなら生活が回る」という上限で設定しておく方が安心です。

さらに、見落とされやすいのが、年に数回発生する「特別費」です。税金、入学費用、帰省費などを年額で洗い出し、12で割って月支出に組み込みます。年単位の特別費を月割りにして毎月の支出に加算し、そこから収入を差し引いた金額こそが、現実的な生活の「不足額」となるのです。

遺族年金だけで生活は成り立つのか

結論からいえば、遺族年金のみで生活費・住宅費・教育費のすべてをまかなうのは、現実的には厳しいケースが多いのが実情です。家族が亡くなると生活費は一部減少しますが、育児や家事を一人で担うことによる外注費の発生や、子どもの成長に伴う教育費の増加などにより、支出が一時的に膨らむ可能性があります。

また、住まいも家計に大きく影響します。持ち家で住宅ローンの場合、多くは団体信用生命保険により残債が完済されますが、賃貸の場合は家賃負担が継続するため、住居費の見直しを検討する余地も出てくるでしょう。

一方で、遺された配偶者がどの程度就労できるかも重要です。就労によって収入が増えれば生活の安定につながりますし、税制面では寡婦控除やひとり親控除の活用により負担軽減も可能です。

このように、生活環境は年々変化します。その変化を踏まえたうえで、遺された家族にとって現実的な不足額を見積もることが大切です。

不足額を生命保険で補う場合の注意点

不足額が見えたとき、多くの人が検討するのが生命保険でしょう。ただし、必要保障額は感覚で決めるのではなく、合理的な根拠に基づいて設計することが大切です。特に注意したいのが、保障額を過剰に設定しないことです。その理由は大きく2つあります。

1つ目は、高額な保険料は家計を圧迫し、今の生活水準を下げてしまうリスクがあること。
2つ目は、必要保障額は子どもの成長により、将来減っていくという点です。

生命保険は、「足りない分だけを、必要な期間だけ補う」という考え方で設計するのが合理的といえます。より具体的な不足額を把握するには、ライフプラン表の作成などを通じて将来の収支を可視化することが有効です。そうすることで、保障額の過不足を防ぎ、現実的で無理のない保障設計が実現できます。

制度を知り、正しく備えることが家族を守る第一歩

遺族年金は、万一の際に家族を支える公的保障です。しかし、その役割はあくまで「生活の土台」であり、十分な生活費のすべてを賄えるものではありません。

制度を正しく理解したうえで、不足分は資産、労働収入、保険などで補っていく。それが現実的で安心感のある備え方といえるでしょう。

万一は、いつ起きるか分かりません。だからこそ日常生活を送っている今のうちから、必要な備えを整理しておくことが、遺された家族を守るための準備につながります。

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