はじめに
3月になると飛び交う「確定申告」という言葉。「まだ何も手をつけていない!」「もう期限に間に合わないかも…」と焦っていませんか?
実は確定申告と一口に言っても、「期限内に申告するべきか?そもそもしなくてもいいのか?」の判断には、合計4パターンもあるのです。意外に思われるかもしれませんが、すべての人が同じ締め切りに追われているわけではないのです。
だからこそ最優先でやるべきことは、「自分がどのパターンに当てはまるのか」を正確に知ることです。これさえ分かれば、世間のムードに流されて無駄に焦ることもなくなりますし、逆に「自分はやらなくていい」と思い込んで後からペナルティ(人や状況によって非常に重い)を受けてしまう、という最悪の事態も避けられます。
本記事では、あなたが今すぐ急ぐべきかどうかが一目で分かるように、「3つの質問」をご用意しました。
本記事の対象は、「フリーランス・個人事業主」または「会社員(副業あり)」の方を想定しています。以下に該当する方は、本記事では触れていませんのでご了承ください。
・株・FX・仮想通貨・投資信託の売買損益がある方
・不動産収入がある方・不動産を売却した方
・給与収入が2000万円を超える方
・2か所以上から給与を受けている方
・公的年金を受給されている方
・海外勤務・海外居住から帰国した方
簡単診断!確定申告「4パターン」判定チェック
令和7年分(2025年分)の確定申告の期限は、令和8年(2026年)3月16日(月)です。焦る前に、まずは「3つの質問」に答えて、自分がどこに当てはまるかチェックしてみましょう。
以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えて、自分のタイプを診断してみてください。
【Q1】
▷青色65万・55万の方は、赤字でも無条件で「はい」です。
▷「はい」になる方の例:課税所得がプラスになるフリーランス・個人事業主、副業利益が年間20万円を超える会社員
「はい」 → あなたは【結論1:マスト】タイプです!
「いいえ」 → 下の【Q2】へ進んでください。
【Q2】
「青色申告(10万円控除)の承認を受けていて、赤字を翌年以降に繰り越したい?」
「はい」 → あなたは【結論2:ベター】タイプです!
「いいえ」 → 下の【Q3】へ進んでください。
【Q3】
「払いすぎた税金を、返してもらいたい(還付申告)?」
▷「はい」になる方の例:ふるさと納税を6カ所以上の自治体にした、医療費控除を受けたい、源泉徴収を引かれているが所得ゼロ/赤字のフリーランス・個人事業主、住宅ローン1年目、年の途中で退職し年末調整を受けていない等
「はい」 → あなたは【結論3:マイペース】タイプです!
「いいえ」 → あなたは【結論4:原則不要】タイプです!
自分のタイプが分かったら、該当する解説へ進んでください。
【結論1:マスト】3/16厳守!「申告義務」がある人
対象者:ズバリ、国に納めるべき税金が発生する人、または青色65万・55万円控除を使いたい人
①青色申告(65万円・55万円控除)の方
この承認を受けている人は、細かい計算をする前に「迷わず3月16日までに申告する」と覚えてください。65万円・55万円の特別控除を使うためには、申告する年の事業が黒字でも赤字でも「期限内の申告」が絶対条件だからです。
なお、赤字の場合は納める税金がないため、厳密には法律上の「申告義務」はありません。しかし、期限を過ぎると控除額が最大10万円に激減してしまうため、実質的に「出さない」という選択肢はないと考えてください。
②フリーランス・個人事業主の方(青色申告10万円の方や白色申告の方)
開業届の提出の有無は問わず、計算してみましょう。
1. まず「事業所得」を計算します。
青色申告10万円控除の方は、ここからさらに10万円を差し引いた金額が「事業所得」です。
2. 次に「課税所得」を計算します。
3. 「課税所得」がプラスなら?
期限内の申告義務があります。
③会社員の方(副業での利益が20万円を超えた方)
本業の給与以外に、副業(ウーバーイーツ、ブログなど種類は問わず)の利益が「年間20万円」を超えた方も申告義務があります。
④会社員の方(一時所得が年20万円を超えた方)
「一時所得」とは、副業でも不動産でもない、いわば「棚ぼた的な所得」の総称です。これは見落としが最も多いパターンで、主に以下が対象になります。
・生命保険・学資保険の満期返戻金・解約返戻金
・懸賞・賞金・競馬の払戻金など
(受取額 - 必要経費 - 特別控除50万円)× 1/2 が 20万円超の場合
さらに注意点としては、一時所得は合算されます。たとえば懸賞で商品券が当たり、さらに学資保険の満期の年であるなら、それらを合算する必要がありますのでご注意ください。
アクション:3月16日までに申告がマスト
遅れると延滞税といったペナルティが発生する可能性があります。
さらにここで注意点があります。申告義務がある人が、同時に還付(医療費控除など)も受けたい場合、還付だけを後回しにすることはできません。すべてまとめて3月16日までに申告する必要があるため要注意です。
【結論2:ベター】申告を「出すこと」が最重要! 赤字を活かす人
対象者:「青色申告(10万円控除)」の承認を受けていて、令和7年分の事業結果が「赤字」だった人。
アクション:義務ではないが、確定申告書は出すのがベター
青色申告には、赤字を最長3年繰り越せる特例「純損失の繰越控除」があります。この特例を使うには、赤字の年に確定申告書を提出し、その後も毎年連続して確定申告書を提出し続けることが条件です。期限後の提出でも適用可能ですが、出し忘れると権利そのものを失います。世間が確定申告で動いているこの時期に、一緒に済ませてしまうのが一番確実です。
【結論3:マイペース】5年以内でOK!「還付」を受ける人
対象者:払いすぎた税金を返してもらう「権利」だけがある人。これも立派な確定申告の一つですが、その内容が「払いすぎた税金を返してもらう」だけの場合には「還付申告」と呼びます。
・ふるさと納税を6カ所以上の自治体にした
・医療費控除を受けたい
・住宅ローン控除(1年目)を受けたいなど
アクション:今すぐ焦らなくてOK! 自分のペースで。
世間が確定申告の期限で焦っていても、あなたにタイムリミットは迫っていません。令和7年分(2025年分)の還付申告なら、令和8年1月1日から「5年以内」の好きなタイミングで申告すれば、払いすぎた税金は戻ってきます。
ただし、住宅ローン1年目の方は、早めに申告しておくと2年目以降の年末調整で控除を受けるための証明書が発行され、手続きがスムーズになります。
【結論4:原則不要】申告しなくていい人
対象者:税務署への確定申告がそもそも不要な人
(副業利益が20万円以下、または課税所得がゼロの人)
①会社員:副業の利益が「20万円以下」の人。
②フリーランス・個人事業主:赤字、または利益から所得控除をすべて差し引いた後の課税所得がゼロになる人。
※青色申告で65万円・55万円控除を使いたい人は、計算結果にかかわらず【結論1:マスト】です。青色申告10万円控除の方で赤字の場合は、「純損失の繰越控除」を使える可能性があります。【結論2:ベター】も併せてご確認ください。
アクション:国(税務署)への確定申告はしなくてOK。
ただし、ここに落とし穴が潜んでいます。国への確定申告(所得税)は不要でも、市区町村への「住民税の申告」が別途必要なケースがほとんどです。実は、副業の利益が20万円以下であっても、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。
ふるさと納税の「ワンストップ特例」に気をつけて!
ふるさと納税で「ワンストップ特例」の申請書を提出した人が、確定申告(還付申告を含む)をする場合、提出済みのワンストップ特例はすべて無効になります。確定申告の際は、ワンストップ特例は無かったものとして、忘れずに寄附した金額を含めて確定申告書に入力してください。
「マスト」「ベター」に該当したなら急ごう!
「マスト」「ベター」に該当した方は、まず3月16日を目標に動き出しましょう。確定申告には様々なルールがあり、毎年少しずつ変わっています。「この記事を読んでも、やっぱり自分の状況が分からない……」という方は、自己判断せずに税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。