はじめに

2026年2月28日、バークシャー・ハサウェイ(以下、バークシャー)が2025年の年次報告書を公開しました。バークシャーは、“相場の神様”ウォーレン・バフェット氏が1965年に経営権を掌握して以降、「バフェットの会社」として知られ、世界で最も有名な投資会社のひとつ。バフェット氏は2025年末に同社CEO(最高経営責任者)から身を引き、2026年1月1日付で副会長のグレッグ・アベル氏が新たにCEOに就任しました。今回は、「バークシャー年次報告書2025」において、新CEOとして初めての仕事と言える「株主への手紙」の内容を紹介します。


バークシャーに新CEOが就任

バフェット氏は2025年いっぱいでCEOの座を降りましたが、会長職には引き続き残っています。そうはいっても、この「年次報告書2025」は、グレッグ・アベル氏の新CEOとしての、いわば“初仕事”。世界で最も有名な投資家の後任として、また約3733億ドル(約59兆円)という巨額の手元資金を抱える運用会社のトップとして、相当なプレッシャーがあることでしょう。

CEOによる「株主への手紙」は、バフェット氏がトップだった頃と同様、年次報告書の冒頭部分に掲載されています。これまで、その「株主への手紙」は、2019年が12ページ、2020年が13ページ、2021年が10ページ、2022年が10ページ、2023年が14ページ、2024年が13ページと、バフェット在任時は、10ページ+α程度でした。ところが、2025年は18ページと、例年に比べてボリュームが増加。このあたりに、バフェットの後任を務めるアベル氏の“気合”が見て取れます(ただし、冒頭2ページはほぼ自らの経歴紹介と、新CEO就任の挨拶です)。

さて、肝心の「日本への投資」についての記述を見ていきましょう。バークシャーによる日本の5大商社への投資が明らかになったのは、2020年の8月末。バークシャーが大量保有報告書を提出したことで判明しました。ただ、2020年の年次報告書では、投資理由の詳細は述べられておらず、内容は5大商社の持ち株比率と、取得コストなどについての表のみ。2021年の年次報告書では、「この5大商社は多くの異なった分野で事業を展開しており、配当を増やし、自社株買いもしている。財務記録から株価が非常に割安であることに驚いた。バークシャーはこれらの会社の株式を数十年にわたって保有するつもりだ」と、投資理由について初めて言及しています。

2024年、つまりバフェットがCEOとして在任した最後の年次報告書では、「日本への投資」という項目が設けられました。2020年時点と比べて5大商社の株価は数倍に上昇しているほか、バークシャーは毎年のように円建ての債券(サムライ債)を発行して、それを原資にこれら5社の株を買い増しています。同社のポートフォリオにおいて5大商社株の存在感が高まっていたため、バフェット氏は株主にきちんとその投資理由を説明する必要があると考えたのでしょう。

日本株についての記述は4行のみ

では、後任のアベル氏は、日本への投資についてどう考えているのでしょうか。2025年「株主への手紙」の中で、バフェットからCEOの座を引き継ぐことを「言うまでもなく、ウォーレンの後を継ぐのは極めて難しい役割である」と述べるとともに、“バフェット流”の投資や経営手法を「永続的に継承していく」と宣言しました。

実は、アベル氏は2023年、バフェット氏に同行する形で5大商社の幹部と面会しています。それを考えると、日本株への投資の重要性をバフェットと同様に考えているはずです。しかし、バフェット氏が2024年の年次報告書で新たに追加した「日本への投資の増加」という項目はなくなり、バークシャーの投資を説明する流れの中で日本への投資について言及するという形を取りました。

保有するポートフォリオについて、アップル、アメリカンエクスプレス(アメックス)、コカ・コーラ、ムーディーズの4社を挙げ、「この4社のことを、私たちはよく理解しています。その経営陣を高く評価しており、数十年にわたって成長を続けることを期待しています。こうした集中投資のアプローチは今後とも続けていく方針です」と語っています。

日本への投資(5大商社への投資)についての記述は、「日本への投資も、その重要性や長期的な価値創造の機会という点において、米国における主要な保有銘柄と同じ投資基準を適用しています(原文:The same criteria apply to our investments in Japan, which we view as comparable to our major U.S. holdings in importance and long-term value creation opportunity)」という、英文にしてわずか2行のみ。その後、5大商社の保有比率と取得コストなどの表が掲載されてはいますが、それでも合計で4行にとどまっています。

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