はじめに
ChatGPTをはじめとする生成AIを使う機会が増え、「ちょっとした疑問は生成AIに聞いてみる」という人も多いのではないでしょうか。では、お金に関する悩みも、生成AIに相談しても大丈夫なのでしょうか。本記事では、実際に筆者が試した結果をもとに、役立つポイントと注意点を解説します。
筆者が相談を受けることの多い3つのケースについて、生成AIに聞いてみます。良い点と注意点について、見ていきましょう。生成AIの回答は、文章をそのままではなく要点をまとめています。
質問1:「お金が貯まりません、どうしたらいいですか?」
【生成AIの回答】
「先取り貯蓄をしましょう。給料日に自動で別口座へ移し(最初は手取りの10%くらい)、残ったお金で生活します。固定費(スマホ代、サブスク、保険など)を一度だけ見直して、その後は食費や娯楽費などをざっくりと把握しましょう。使っていいお金を決めて、それでも無理なら、副収入などを検討します。よろしければ、手取りや一人暮らしor実家などを教えてください。より具体的に一緒に考えますよ」
筆者が手取りや家族状況を適宜入力してみると、家賃や食費などの目安や、貯蓄額の提案が示されました。
FPの視点:正論だが「切実度」や「目的」が抜けている
基本的なマネー記事を元にした内容と考えられ、大きな間違いはありません。初心者向けのアドバイスとしては、おおむねよい流れと言えるでしょう。
ただし、注意したいのは質問者の「切実度」が反映されにくい点です。生活がひっ迫している状況と、ある程度の資産があって安心感を高めたい状況とでは、必要な対策は大きく異なります。
前者なら、家賃の見直しや実家への一時的な帰省、固定費を一つずつ見直すなど、より踏み込んだ対応が必要です。借り入れがあれば、その整理も優先する必要があります。ただ、家賃の見直しといっても、例えば、一人暮らしの女性がセキュリティの高い住まいに住んでいるところ、家賃を下げるために、セキュリティを大きく下げて引っ越すのは、現実的ではありませんし、エリアによっては限界もあります。そのあたりも加味する必要があります。
一方、後者の場合(ある程度の資産があって安心感を高めたい状況)は、「なぜ貯めたいのか」「なぜ貯蓄が増えれば安心なのか」といった目的や気持ちを整理することが大切です。整理しないまま貯蓄額を増やしていくと、どんなに増えても安心感は一向に得られないケースが多いからです。
同じ「貯まらない」という悩みでも、背景によって解決策は大きく変わる点には注意が必要です。
質問2:「NISAとiDeCoはどちらがいい?」
【生成AIの回答】
「NISAは投資の運用益が非課税で、引き出しの自由度が高いのが特徴です。iDeCoは掛け金が全額所得控除となり、節税メリットが大きいですが、原則60歳まで引き出しができません。ライフプランに応じて使い分けましょう。迷ったら、まずは使いやすいNISAから始めるのもいいですよ」
FPの視点:制度の解説は的確だが、個別事情が考慮されない
制度の違いが簡潔に整理され、初心者には理解しやすい回答です。引き出しの自由度という重要なポイントも押さえられています。
ただし、ここでも個別事情の考慮が欠かせません。iDeCoは、所得が高い人ほど節税効果が大きく、専業主婦の場合は税金の支払いがないため、掛金の全額所得控除のメリットがなくなります。
また、今後数年で教育費や車の購入など、大きな支出予定がある場合は、60歳まで原則引き出せないiDeCoよりも、流動性の高いNISAが適していると考えられます。数年後に子どもが受験で大きな学費がかかったり、車の買い替えの予定があったりすると、手元に資金をしっかり残しておかなくてはなりません。
一方で、投資によって増えたり、減ったりすることで動揺して、すぐに売却して引き出してしまう恐れがある場合は、引き出し制限のあるiDeCoが有効な場合もあります。
どちらか二者択一ではなく、両方をバランスよく使う選択肢もあります。将来の支出予定やお金の使い方を踏まえて、判断することが大切です。