はじめに
「長期投資はオルカン一本でいい」。
そんな声がSNSや投資系メディアを中心に、すっかり定説として広まっています。でも、積立を続けるうちに「何か足したほうがいいのかな」と感じたことはありませんか。その気持ち、おかしくはありません。むしろ、投資に真剣に向き合っているからこそ生まれる疑問ともいえます。
結論からいえば、目的によっては有効な組み合わせが存在します。ただし、足し方を間違えると、リスクが上がるだけで分散効果はほぼ得られないケースも少なくありません。
この記事では、「何を足すか」より先に考えるべき「なぜ足したいのか」を整理しながら、FPの視点から組み合わせの考え方と、やりがちなNG例を解説します。
オルカンは優秀。でも"足したい"気持ちには理由がある
オルカン(全世界株式インデックスファンド)が支持される理由は、全世界への分散・低コスト・運用のシンプルさの3点に集約されます。信託報酬が年0.1%以下で約50か国・3,000銘柄以上に投資できるこのファンドは、長期・積立という運用スタイルを貫ける人にとって、非常に合理的な選択です。
それでも「何か足したい」という気持ちが生まれるのは、おおむね次の3つのケースだと思います。まず自分がどれに当てはまるかを確認してください。
ケース1.老後や大きな支出が近づき、リスクを下げて資産を守りたい
ケース2.目標金額に届かないため、リターンをもう少し上乗せしたい
ケース3.物価上昇や円安への備えを、もう一段強化したい
目的別・組み合わせの考え方
これからケースごとに、足すべき資産カテゴリと具体的なイメージをまとめます。あくまで一例として参考にしてください。
【ケース1.国内債券インデックスファンド】
株式と値動きの相関が低く、ポートフォリオ全体の価格変動を抑える効果が期待できます。連動先として代表的なのは、国内の公社債市場全体をカバーする「NOMURA-BPI総合指数」です。リターンは控えめですが、守りを固めたい局面では有効な選択肢です。信託報酬が0.1%台の低コストファンドも複数あり、コスト面の負担も小さいカテゴリです。
(参考ファンド例:eMAXIS Slim 国内債券インデックスなど)
【ケース2.特定国株式インデックスファンド(例:インド株式)】
米国一強への集中を緩和しつつリターンを狙いたい場合、オルカン内での比率がまだ低い国・地域への集中投資が選択肢になります。現在注目されているのがインド株式で、「Nifty50指数」はインドを代表する50社で構成される株価指数です。IMFの予測では、インドのGDPは2029年頃に世界第3位に浮上するとされており、中長期の成長期待が高い市場です。ただし、新興国特有の価格変動リスクや為替リスクがある点は忘れずに。あくまでオルカンをコアに置いた上で、サテライトとして活用するのが基本です。
(参考ファンド例:iFreeNEXT インド株インデックスなど)
【ケース3.金(ゴールド)価格連動ファンド】
インフレ局面や地政学リスクが高まる局面で相対的に強い傾向がある資産です。多くのファンドが「LBMA金価格(ロンドン金価格)」を連動先指標としており、株式・債券とは異なる値動きをするため分散効果も期待できます。為替ヘッジありとなしの2タイプがあり、円安メリットを取りたい場合はヘッジなし、為替変動を抑えたい場合はヘッジありを選ぶのが基本です。なお、金は利息・配当を生まない資産である点も理解した上で活用してください。
(参考ファンド例:iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンドなど)
守りを固めたいなら国内債券、リターンを上乗せしたいならインドなど成長期待の高い特定国株式、インフレや円安への備えを強化したいなら金(ゴールド)など、目的が違えば、足すべき資産カテゴリも変わります。「何を足すか」は、「なぜ足したいか」が決まって初めて答えが出るものです。
※上記はイメージしやすいよう例示したものであり、特定のファンドを推奨するものではありません。購入前に各ファンドの目論見書を必ずご確認ください。