はじめに
待ちに待ったゴールデンウィーク。円安や燃油サーチャージの高騰という高いハードルを越え、海外旅行を予約した方も多いはずです。
しかし、連日の中東情勢のニュースを見て、不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。自身の生命を守ることはもちろん、経済的損失をいかに抑えるかは切実な問題です。
本記事では、海外旅行保険の補償やその実態について解説します。
「保険があるから大丈夫」が通じない、その現実
今年のゴールデンウィークに、ヨーロッパやアジアへの旅行を予定している方も多いでしょう。しかし中東情勢の緊迫化が、旅行者の心に不安の影を落としています。
中東周辺地域では空域が閉鎖され、航空会社では多数の定期便が運休する事態が発生しました。「自分は中東には行かないから関係ない」と思っている方も、注意が必要です。
日本とヨーロッパをつなぐ国際線は、ロシア上空を飛行できない現状から中東経由が主流です。ドバイ・アブダビ・ドーハ等を乗り継ぐツアーが多く利用され、ツアー中止も相次いでおり、ヨーロッパ旅行を予約した方なら、人ごとではありません。
まず知っておくべきは「戦争免責」です。どの保険会社にも共通する海外旅行保険の大原則があります。普通保険約款において、戦争や内乱などによって生じたケガや損害・死亡に対しては、保険金が支払われないと規定されています。
ただし、テロによるケガや損害・死亡については異なる場合があります。「テロ等対応費用補償特約」をオプションとして付帯できる商品や、テロによる損害を補償の対象として明記しているケースがあります。
また、外務省の危険情報で「レベル3(渡航中止勧告)」や「レベル4(退避勧告)」が発出されている地域では、テロ特約があっても支払いが拒絶される可能性も高いため、渡航前の情報確認は欠かせません。外務省の海外安全情報は必ずチェックしておきましょう。
ツアーと個人旅行、有事での対応はここまで違う
「ツアー(パッケージ旅行)」と「個人手配旅行」では、有事の際の旅行会社の対応が根本的に異なる点も注意が必要です。ここを理解するだけで、取れるリスク管理の選択肢が変わります。
パッケージツアーは旅行会社が旅程・交通・宿泊をひとまとめにした商品のため、出発便の欠航や大幅な遅延が生じ、ツアーの催行が不可能だと旅行会社が判断した場合は、ツアーキャンセルとして旅行代金が全額返金されるのが一般的です。また、旅行会社が「窓口」となってまとめて動いてくれるため、万が一のとき自力で何か所も手配するより混乱が少なく済む面があります。
個人手配旅行の場合は、航空券とホテルをそれぞれ自分で予約しているため、リスク管理はすべて自己責任です。航空会社の欠航が決まっても、別途手配したホテルのキャンセル料は自動的には免除されませんので、ご自身で個別に連絡・交渉する必要があります。
また、個人手配では、取消料が100%必要となる航空券もあり、特にLCCや非払い戻し運賃(ノンリファンダブル)の場合、欠航でなければ返金されないケースがほとんどです。旅行代金が大きくなるほど、キャンセル特約の重要性が増します。
旅行スタイルの多様化に合わせて保険商品も進化しているため、キャンセル特約について、どの範囲まで補償可能か、有事の場合はどうかを、各社申込前に比較し検討しましょう。
注意点としては、キャンセル特約は早めの申込でないと補償されず、寸前の保険申し込みではカバーされない場合もあります。しかしながら、やっぱり戦争が「怖いからキャンセル」など自己判断によるキャンセルは補償対象外となりますから、旅行の申し込みと保険の申し込みタイミングの慎重さも必要です。