はじめに
新年度が始まり、環境の変化が大きい春。4月の緊張が少しずつ緩み始める5月頃から、「なんとなくつらい」「仕事に行けない」と感じる人が増えてきます。いわゆる「五月病」ですが、放置すると、うつ病や適応障害などへ進行するリスクがあるといわれています。
さらに、「休んだら収入はどうなるの?」「治療費はどれくらいかかる?」——こうしたお金の不安が、心の負担を一層大きくしてしまうこともあります。本記事では、いざというときに医療費・収入・生活の不安を少しでも軽くする「4つの公的支援」について解説します。
医療費の負担を軽くする「自立支援医療」
メンタルクリニックへの通院は、続けると費用がかさみがちです。しかし、自立支援医療制度を利用すれば、自己負担は原則3割から1割に軽減されます。さらに世帯所得に応じて月額上限が設けられており、上限を超えた分の自己負担はありません。
ただし、一定以上の所得がある場合(目安:年収約833万円以上)は、原則として負担軽減の対象外となります。精神通院医療で「重度かつ継続」に該当する場合は例外があり、月額上限2万円の範囲で利用できます。
・対象疾患:うつ病、適応障害、不安障害などの精神疾患
・負担割合:原則1割負担(一定所得以上の世帯は制限あり)
・月額上限:所得に応じて設定あり
・対象内容:診察代・薬代など
申請は市区町村の窓口で行い、医師の診断書などが必要となります。通院を続けたいものの費用面に不安がある方にとって、ぜひ確認しておきたい制度です。
休職中の収入を支える「傷病手当金」
「休んだら収入がなくなるのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。会社員が病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。精神疾患による休職も対象です。
・支給対象:業務外の病気やケガで仕事を休む場合
・支給開始:連続して3日間休んだ後、4日目から
・金額:給与の約3分の2相当(約67%)
・期間:通算 1年6か月
最初の3日間(待期期間)は支給対象外となります。
復職後に再び休職した場合でも、通算1年6か月の範囲内であれば支給が継続されます。働けない期間の収入がゼロになる不安を軽減できるため、心身の回復に専念しやすくなります。
長期化した場合の支え「障害年金」
うつ病や双極性障害などが長期化し、「働くことが難しい状態」が続く場合には、「障害年金」という選択肢もあります。
・対象:精神疾患を含むすべての病気やけが
・基準:日常生活や就労に大きな制限がある状態
・申請タイミング:初診日から1年6カ月経過後(障害認定日)
・受給額:障害の等級(障害基礎年金1〜2級、障害厚生年金なら3級もあり)によって変動
申請には、医師の診断書に加え、通院歴や就労状況などの書類が必要です。
注意が必要なのは、申請できるのが原則として「初診日から1年6カ月後」になる点です。また、障害年金は「まったく働けない人だけの制度」ではありません。状態によっては、働きながら受給できるケースもあります。