はじめに

厳しい条件をクリアしなければ、S&P500の構成銘柄にはなれない

では、前者についてはどうでしょうか。要するにインフレの局面において、製品やサービスに価格転嫁ができない企業は、業績も株価も上がらないから、玉石混交な構成銘柄を持つインデックス運用の成績は、勝ち組企業を選別して組み入れるアクティブ運用に対して劣後する、ということなのですが、どうでしょうか。

確かに、かつての東証株価指数は玉石混交だったかも知れませんが、現在は東証改革による市場区分の見直しが行われており、今後数年をかけて東証株価指数の構成銘柄は、かなりの程度まで絞り込まれる予定です。

また、S&P500はおよそ3500~4000ある母集団から500銘柄を選別して構成銘柄にしています。そのための条件は相応に厳しく、以下の条件をクリアしなければ、S&P500の構成銘柄になりません。


時価総額:浮動株調整後の時価総額が180億ドル以上(※基準は随時更新されます)であること
高い収益性(黒字維持):直近の四半期が黒字であり、かつ直近4四半期の利益の合計がプラス(黒字)であること。これが、赤字でも時価総額だけで採用される他の指数との大きな違いです
流動性:年間売買代金が時価総額を上回るレベルで活発に取引されており、かつ直近6ヶ月間の各月の売買高が最低25万株以上あること
米国企業であること:本社が米国にあり、資産や売上高の大部分が米国国内であること。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQなどの主要取引所に上場している必要があります
浮動株比率:発行済株式のうち、市場で実際に取引可能な「浮動株」が50%以上であること


これだけの厳しい条件をクリアしなければ、S&P500の構成銘柄になれません。その企業が決して「石」ではないことは、言うまでもないでしょう。

実際のデータが示すインデックスファンドの底力

S&P500の急落前の高値は、2月11日につけた6993.45ポイントで、3月30日には6316.91ポイントまで下げましたが、そこから上昇に転じ、4月27日には7178.74ポイントと過去最高値を更新しました。この間の上昇率は13.64%です。ちなみにS&P500に連動するインデックスファンドのリターンは、12.78%と堅調です。

一方、同期間において、前述のような指摘をしている運用会社のアクティブファンドの成績(一例)を計算してみます。同じ期間で上昇率を計算すると、日本株アクティブが5.91%、世界株アクティブは11.54%でした。なお、MSCI ACWIに連動するインデックスファンドのリターンは、11.65%です。

データから客観的に見ると、必ずしもオルカンやS&P500が劣っているとは言い切れず、むしろ優位性を保っているケースも少なくありません。「インデックスへの集中投資は危険」という一部の主張は、アクティブファンド側のポジショントークという側面もあるのではないでしょうか。

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