はじめに

「契約したときは1ドル110円だったのに、今は150円超……。毎月の保険料負担が重すぎる」。

歴史的な円安が進行する今、十数年前に加入した「ドル建て保険」の保険料の増加に頭を抱えている方もいるのではないでしょうか。しかし、目の前の支払いコストが増える一方で、実は「円ベースでの資産価値が大きく膨らんでいる」という見逃せない側面もあります。

今、私たちがすべきなのは、円安をただの「家計の敵」として恐れることではなく、現状を正しく把握し、自分の資産にとって最適な「出口戦略」を描くことです。本記事では、FPの視点から、継続・払済・解約という3つの選択肢をどう選び分けるべきか、その合理的な判断基準を解説します。


ドル建て保険、家計の重荷になっていませんか?

かつて、低金利な日本円に代わる運用先として人気を博したドル建て保険。しかし、昨今の急激な円安は契約者の「想定外」の事態を引き起こしています。実際にFPとしてお客様の家計相談に乗っていると、「10年前に加入したドル建て保険の支払いが毎月の家計を圧迫して困っている」というお声をよく聞きます。

例えば、毎月200ドルを積み立てる契約の場合、為替レートによって支払額は以下のように変化します。

1ドル=110円(契約時想定)の場合: 22,000円
1ドル=155円(現在)の場合: 31,000円

月々9,000円の負担増は、年間で考えると約11万円の出費増です。これが10年、20年と続くとなれば、家計のキャッシュフローに与える影響は無視できません。

「将来のために」と始めたはずの保険が、今の生活を圧迫し、他の効率的な資産形成を阻害しているとしたら本末転倒です。まずは「今の家計にとって、この負担増は許容範囲内か」を冷静に見つめ直す時期に来ています。

その保険の役割は?「加入目的」の棚卸し

家計が苦しくなった今こそ、具体的なアクションを起こす前に「なぜこの保険に入ったのか」という原点に立ち返る必要があります。

ケースA:家族への「保障」が主目的
万が一の際、家族にドルベースで資産を残したいのであれば、円安による負担増は「保障を維持するためのコスト」と言えます。この場合、安易な解約はリスクになり得ます。

ケースB:将来のための「貯蓄・運用」が主目的
「銀行に預けるよりマシ」「利回りが良いから」という理由で始めたなら、その保険は数ある運用手段の一つに過ぎません。現在の円安による利回りの低下(円で払うコストの増加)と、NISAやiDeCoなど他の運用手段の期待リターンを比較し、より効率的な場所へ資金を移す検討が必要です。

目的が曖昧なまま「なんとなく」続けていると、円安が進むたびに不安に振り回されることになります。今の為替水準で「高い保険料を払い続ける価値が、その目的(保障や貯蓄)に見合っているか」を冷静に判断することが、出口戦略の第一歩です。

保険料を払いすぎていませんか? お金のプロがあなたにあった保険を診断[by MoneyForward HOME]