はじめに

50代のボーナスは「ピークを活かしながら、使い始める」時期

50代のボーナス額は現役世代のなかで最も高い水準に達します。収入のピークを迎える時期である一方、老後まであと10〜15年という現実感も出てくる年代です。

ただし、50代を一括りにするのは注意が必要です。55〜59歳になると、50代前半と比べてボーナス額が減少に転じるデータがあります。背景には役職定年の存在があります。役職を外れると給与とボーナスが大幅に減額されるケースも少なくありません。給与とボーナスを含めて年収が30%程度下がることも珍しくないとされています。

つまり50代は、前半と後半で家計の状況がガラリと変わる可能性がある年代です。50代前半のうちに「今が収入のピークかもしれない」という意識を持ち、計画的に動くことが求められます。教育資金の目処が立ち、おおよその退職金の金額も見えてきますので、老後資金設計の最終段階の時期となります。何歳まで働き収入を得るのかを見越しながら、NISAや債券等の金融商品に余裕資金を振り分けていくことが大切です。

また、この年代で見落とされがちなのが「使う練習」です。老後が見えてきたからこそ「貯めなければ」という心理が強くなりやすいのですが、実は50代はお金を上手に使う力を養う時期でもあります。旅行、学び、体験…こうした支出は、老後の豊かさをつくる投資でもあります。

セカンドキャリアに向けた学びや資格取得を始めるには、体力・気力ともに充実した50代が最適なタイミングです。健康で動ける今しかできないことに、意識的にお金を向けることも、50代のボーナスの大切な役割だとFPとして強く感じています。

50代前半の基本軸は「生活防衛費と予定支出を確保する → 老後資金計画を立てる → 体験・自己投資にも配分する」という順番です。50代後半で役職定年や定年が近い方は、その前に「ボーナスが減った後の家計シミュレーション」をしておくことを強くおすすめします。

「とりあえず貯金」は本当に正解ですか?

物価上昇への不安を背景に「とりあえず普通預金に置いておく」という選択も理解できます。ただ、インフレが続く環境では、現金の価値は実質的に下がり続けます。生活防衛費として持つべき現金はしっかり確保しながらも、それ以上の余裕資金は「増える仕組み」に乗せていくことが、今の時代に求められる家計管理のスタンスです。「貯金か投資か」という二択ではなく、「どちらをどれだけ」という配分の発想に切り替えていただきたいと思います。

ボーナスの使い道に悩む多くの方に共通するのは「優先順位の軸がない」ことです。NISAがいい、繰り上げ返済がいい、旅行に使いたい——どれも間違いではありません。ただ、すべてを同時に考えようとすると迷います。順番に沿って考えると、ボーナスの使い道はぐっとシンプルになります。どの年代であっても、「今年のボーナス」を起点に、自分のお金の流れを一度じっくり考えてみるのもいいですね。

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