はじめに

乗り換えコストの正体、4.6%差だけで判断してよいのか

3地域均等型がオルカンを4.6%上回ったと聞くと、「今から乗り換えた方がいいのでは」と感じる人もいるでしょう。しかし、乗り換えにはコストがかかります。

課税口座で保有している場合、売却益が出ていれば税金がかかります。上場株式等の譲渡益には、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて、原則20.315%の税率がかかります。

たとえば、100万円の含み益が出ている商品を売却する場合、税金だけで約20.3万円が差し引かれます。もちろん、NISA口座であれば売却益は非課税です。ただ、非課税であることと、非課税枠が即座に復活することは別の話です。売却した分の非課税保有限度額は、その場ですぐに再利用できるわけではありません。売却した商品の簿価分は、翌年以降に再利用できる仕組みです。

100万円で買った投資信託が150万円になって売却したとします。この場合、翌年以降に再利用できる非課税保有限度額は、150万円ではなく購入時の100万円分です。売却から買い直しまでの間に、相場が動くこともあります。売ったあとに価格が上がれば、同じ金額で買い戻せる口数は少なくなります。

つまり、「去年は4.6%差がついた」という事実だけで乗り換えると、税金、非課税枠、タイミングのズレといった実務上の負担を見落としやすくなるのです。

4.6%の差は、たしかに小さくありません。ただし、それは「過去に確定した数字」であり、乗り換えのコストは「これから自分が負担する数字」です。比較の土俵が違うことを意識する必要があります。

乗り換えるかどうかの前に、自分の「型」を持つ

年初に決めたNISAの積立設定は、一度決めたら終わりではありません。半年ほど続けた今、自分が何を買っているのか、どの地域にどれくらい投資しているのかを確認することは大切です。

オルカンを選ぶなら、時価総額型を選んでいることを理解する。米国比率が高くなることも含めて、その型を受け入れる。3地域均等型を選ぶなら、地域を均等に近づける型を選んでいることを理解する。その分、日本株式や新興国株式の比率が高くなることも受け入れる。どちらを選ぶにしても、「去年の成績が良かったから」という理由だけでは、長期で続ける判断軸として弱くなります。

投資で大切なのは、正解の商品名を探すことではありません。「みんなが選んでいるから」ではなく、「この型なら続けられる」と言えるか。その問いに自分の言葉で答えられることが、長期投資を続けるための土台になります。

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