はじめに

男性“草食化”の裏にある現実

最近、仕事の関係で「ある大学の理系学科で『結婚願望がない』と回答した男子が9割もいた」という悲鳴にも似た声をうかがいました。その理由はハッキリしていて、「責任が重いから」との回答が多数派だったそうです。

「男子学生の草食化が残念だ」との声が早速上がりましたが、はたして本当にそうなのでしょうか。「責任が重い」と言う男子を「草食」と呼ぶ周囲の環境に問題がある、という見方も、男女の役割分担ダイバーシティの観点からは指摘可能です。

女性労働力率のM字カーブが顕在の日本では、出産で仕事を辞める女性もまだ多いのが事実です。ということは、夫側に長期にわたり経済的責任がより重くのしかかっていることに「計算ができる学生」ほど気づきます。

そのうえ、「イクメンであれ」などと叫ばれると、「もう嫌になってしまう」と男性でなくても感じてしまうのかもしれません。そんな中で、より経済力を持ちそうな高学歴女性が昔よりも結婚相手として選ばれるのは、それほど不思議ではないと思われます。

変わりゆく結婚のカタチ

「昔のオトコは専業主婦を養ってナンボだったんだぞ。やっぱりオトコの草食化じゃないか」という議論が必ず中年より上の世代から出てくるのですが、これには“今”を無視した大きな事実誤認があります。下図を見てください。

養ってナンボなお父さんたちの“昔”においては、女性の大学進学率があまりに低く、1986年の均等法施行以前は、女性は男性と同等な給与体系の職に就ける状況にさえなかったのです。こう見ると潜在的感覚とはなるのでしょうが、男性はやむなく1馬力主義を続けてきたかもしれない、ともいえます。

「俺が稼がなきゃ。女性を経済的にリードしなくちゃ」「男性が養って当然。私のお給料はお小遣いレベルでいいのだし」という考えは、あくまでも過去の歴史的時代背景が作り出したものであり、状況的にはやむをえなかったのです。

「(俺に)(私に)理解ある」結婚相手がなかなか見つからない、という人は、うちのパパとママがそうであるように男性が女性を経済的に養うのが当たり前、が結婚の「絶対的条件」「当然の価値観」では決してないことに気がついたときに、素敵な相手が見つかるのかもしれません。

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