はじめに

分散投資のひとつである「時間分散」。つまり積立投資のことですが、一般的に価格変動リスクを抑制するための手段として注目されています。実際のところはどうなのでしょうか。データを用いて検証してみました。


日経225平均が2倍上昇するなかで4倍の資産増

なぜ積立投資に価格変動リスクを抑制する効果が期待できるのでしょうか。それは、「ドルコスト平均効果」といって、定期的に同一の投資対象を、同一金額で購入し続けると、価格が安い時は口数を多く、価格が高い時には口数を少なく買い付けることになるため、平均の買付単価を下げる効果が期待できると言われています。

実際の数字を用いて検証してみましょう。1989年1月から毎月末に、1万円ずつ日経225平均株価を買い付け、2026年5月末まで続けた場合を考えてみましょう。月数にして449カ月。つまり37年と5カ月間ですから、大学を卒業して就職し、60歳定年まで積立投資を続けたのと、ほぼ同じ期間になります。

たとえば1989年1月末の日経225平均株価は3万1581円でした。これを1万円で買った場合、1口を1円とすると、買い付けられた口数は3166口(1万円÷3万1581円=0.3166)になります。こうして毎月、1万円で日経225平均株価を買い続けていくと、2026年5月末時点で積み立てた元本は449万円になります。

そしてこの間、日経平均株価は3万1581円から6万6329円に値上がりしているので、2.1倍になっています。

では、毎月1万円ずつ積み立てたお金は、どのくらいの資産規模になっているのでしょうか。前述したように、449カ月間にわたって毎月1万円の積立ですから、積み立てた元本は449万円です。

これに対して2026年5月末の資産評価額は、1831万3467円になりました。実に4倍です。なぜ、日経225平均株価が2.1倍なのに、それに毎月1万円ずつ投資し続けた成果が4倍になっているのでしょうか。これこそが定時定額積立投資の効果なのです。

いかに安値で拾えるか

特にこの37年間は、定時定額積立投資の効果が得られやすい時期だったと考えられます。なぜなら、日経225平均株価が長期にわたって低迷し続けたからです。

日経225平均株価の過去の値動きを振り返ると、1989年12月末に3万8915円という高値を付けた後、土地バブルの崩壊を機に値下がりを続けました。さらに、もともと銀行など金融機関の体力が弱体化しているなかで、降って湧いたように起こったITバブルの崩壊が重なり、日本国内の金融不安は、2003年にかけてピークに達しました。それによって日経225平均株価は、同年4月末に7831円まで下落。その後、徐々に株価は戻し始めましたが、2007年に米国を震源地としたサブプライムローンショックと、その影響を受けて2008年にリーマンショックが起きたことにより、日経225平均株価は2009年2月末、7568円という最安値を更新しました。

株価が大きく下がれば、その分だけ多くの口数が買えるようになります。日経225平均株価が7568円まで値下がりした時の買付口数は、1万3213口となっています。日経225平均株価は、終値ベースで見ると、1989年12月末の3万8915円という高値を抜いたのは2024年2月のことで、実に34年と1カ月ぶりのことでした。

これだけ株価の低迷が長引くと、その分だけ安値で買えた時期も長くなるため、日経225平均株価を毎月1万円ずつ、37年にわたって買い続けた平均の買いコストを、下げる効果が得られたわけです。実際、この前提で買い付けた日経225平均株価の、2026年5月末時点の平均買いコストは、1万9605円です。同時期の日経225平均株価が6万6329円であることからすると、いかに長期の価格低迷が平均買いコストの引き下げに有効であるかが、お分かりいただけるのではないでしょうか。

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