はじめに

「毎年夏に家族で行った思い出の別荘」「釣り好きの父が衝動買いした山小屋」「ガーデニングにハマった母が手入れしていた家庭菜園用地」。特に、バブル期を経験している団塊世代が、人生のハイライトとして購入したリゾートマンションや別荘、趣味物件は、子ども世代にとっては「使い道のない不動産」に成り下がりがちです。

これらの別荘やリゾートマンションの管理費に年間10万円超、固定資産税に年間数万円、老朽化した建物の解体費に数百万円かかることもあります。親にとっては人生の拠点だった物件でも、相続等が発生した際には、子世代に重い負担を背負わせる「負動産」になってしまう可能性があるのです。

この記事では、親の趣味等のために購入された不動産が負動産化するパターンとその背景を深掘りし、親が元気なうちにどう向き合うべきか、親の思いを尊重しつつも子世代の家計を守るための現実的な視点を考えていきます。


「夢のセカンドハウス」が負動産化するケース3選

① 別荘・リゾートマンション

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団塊世代が人生のハイライトとして購入した別荘やリゾートマンションのような、セカンドハウス用途の趣味物件は、子ども世代のライフスタイルとは根本的に相性が悪く、高確率で「負動産化」します。

最も典型的なのが、リゾートマンションや別荘といった不動産に対する意識の変化です。軽井沢や伊豆で購入したリゾートマンションは、購入当時は1000万円を超える売買も珍しくなく、将来的な資産形成の観点で、投資商品としても魅力的でした。しかし、時代の変遷とともに、余暇の多様化やタイムシェアサービスの普及等も相まって、こういった不動産を所有することへの価値意識も大きく変わり、今の現役世代に、そこまでの魅力を感じている人は限定的です。

また、高額になりがちなランニングコストも、相性の悪さに拍車をかけています。毎年の固定資産税、別荘管理費、除草伐採などの維持管理費など、年間で数十万円に近い出費を伴うケースも少なくありません。ここまで高額ではない場合であっても、使用する分だけ費用を払えば済むリゾートホテルやアミューズメント施設、タイムシェア型サービスに比べると、1年の大半を使用していない状態のものに対して、半強制的に費用が発生し続ける点も、「コスパが悪い」対象という評価になりがちです。さらには、建物は老朽化により修理、解体等の整備の必要性も年々高まり、それが親世代よりも子世代に直撃する可能性が高いことから、この”コスパの悪さ”と、いずれ子世代が直面しうるリスクとして、負動産として捉えられる傾向にあります。

もちろん、自らの強い意思と明確な目的で購入した親世代にとっては、それを購入した後に得られた充実した経験や思い出があるため、使用頻度が低くなっても、ランニングコストは「思い出を風化させないための必要経費」として、そこまでの痛手とは捉えていないケースも少なくありません。他方、子世代にとっては、「思い出のために、日々の家計を削り、どうしてこれだけのコストを払う必要なのか」という疑問とともに、それがいずれ自分の負担になることを目前に控えて絶望します。語弊を恐れずにいえば、「親が楽しんだ後始末を、どうして自分が負わなければならないのか」という心境にもなりかねないのです。

②家庭菜園、ガーデニング用地

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ここまでは別荘やリゾートマンション等を一例として挙げましたが、建物が無くとも、たとえば家庭菜園やガーデニング用地といった土地であっても、程度の差はあれ、本質的には同様のリスクを孕んでいます。もちろん、別荘建物やリゾートマンションに比べれば、ランニングコストも相対的に安く、直ちに子世代が高額な金銭的負担を負うほどのリスクには至らないことが大半です。

ただし、親世代と同様に、必ずしも子世代にも野菜作りの習慣や興味があるとは限りません。そのため、親の高齢化で対象不動産から足が遠のいたり、相続が発生したりすれば、頻繁な管理もできずに荒れ果てていき、害虫や雑草繁茂等による近隣苦情の問題にも発展します。例えば親にとっては「土をいじる喜びの場」であっても、子世代には「無意味な草刈りをするだけの土地」にもなりえます。

③投資目的の原野

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団塊世代が経験したバブル期には、「土地神話」ともいわれる、「土地の価値は上がり続ける」という価値観が強く根付いていました。こうした背景の下、別荘といった自己用不動産だけではなく、今でいう金(ゴールド)のように、投資商品としても様々な不動産が取引されていました。

その中でも、田舎の山林などを「将来、リゾート開発等で発展していく計画の土地を、今のうちに安く買わないか」といった謳い文句で、いわゆる青田買いとして取引された土地も数えきれないほど存在しています。

こうした不動産を購入した当時は、「資産価値が大きく上昇したら、売却してキャピタルゲインを狙おう」や「そこまで資産価値が上がらなくても、定年後にセカンドハウスでも建てて有効活用しよう」といった目的と計画で、なにより不動産オーナーとなったステータスも含めて、誇り高い買い物であったものと思われます。

しかし、バブルが崩壊し、実際にはリゾート開発などが成功して地価上昇した不動産はごくわずかで、大半の土地は資産価値が上がるどころか「1円でも買い手が見つからない」ような土地に変貌しています。

もちろん、購入当時は、どんなに慎重な性格の親でも、社会動向を見ながら「将来の自分や家族のために」と熟考したうえで購入した人も多いと思われ、決して当時の親の目が節穴だったとは言えません。しかし、残念ながら現状として、子世代からは「甘い投資話に釣られた」と呆れられているといった声も散見されます。

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