はじめに
決める前に確かめたい、3つのポイント
家の購入を検討し始めると、多くの方が時間に追われますが、大切なことは急いで結論を出さないことです。確認したいのは、具体的には以下の3点です。
一つ目は、「教育費のピークとローン返済が重なる数年を、乗り切れるか」です。お子さんの大学進学期前後は、家計の負担が最も重くなる時期です。一方、家を買うと住居関連の支出が増え、生活費が底上げされる傾向があります。厳しい状況を想定し、余力はどの程度持てそうなのか。守るべき資金は守れるのか。必要な資産形成は順調に進められそうなのか。家計の状況を丁寧に確認しましょう。もし余力に不安があるなら、予算や時期を調整することで、無理のない設計を作れる場合もあります。
二つ目は、「賃貸という選択肢を、公平に検討したかどうか」です。「家を買うのが当たり前」という空気のなかで、賃貸を最初から候補に入れていないケースは多いです。買う理由だけでなく、借りる理由も、同じように書き出してみましょう。ご自身にとっての思わぬ利点が見えてくるかもしれません。
三つ目は、「その場所は、本当に終のすみかとなりうるのか」です。キャリアや親の介護、お子さんの進路、健康状態などによって、住まいの最適解は変わります。最期まで望む暮らしが成り立つのか。見落としている不確実性はありませんか。この点の検証が不十分なままでは、将来、暮らしの前提そのものが揺らいでしまう恐れがあります。
守るべきは、暮らしそのもの
筆者はこれまで、20代や30代の方だけでなく、40代や50代、定年後に家を買う方にもお会いしてきました。年齢は違っても、満足できる暮らしを実現された方は、たくさんいらっしゃいます。無意識のうちに、「買うか、買わないか」の二択で考えてはいないでしょうか。もし今のマイホーム計画に不安を感じているなら、それは何かを察知しているサインかもしれません。“なんとかなるだろう”と、そのまま進めてしまうのではなく、まずは不安の正体を確かめてみてはいかがでしょうか。教育費との両立なのか、返済が続く期間の長さなのか。あるいは、周囲の雰囲気に流されているのか。正体が見えてくると、選べる道は「買う・買わない」の二択ではないと気づくはずです。同じ「家を買う」でも、予算を見直す、時期をずらす、借り方や条件を変えるといったやり方があります。
自分たちだけで整理するのが難しければ、生活設計全体を見てくれる専門家を頼るのも一つの方法です。数は多くありませんが、中立的な立場で家計全体を一緒に見てくれる相手もいます。大切なのは、道具ではなく、それを使った自分たちの暮らしです。まずは「わが家にとっての最善の買い方を模索すること」から始めてみてはいかがでしょうか。そうすればきっと、家はあなたの暮らしを支える味方になるはずです。