はじめに
DOEと累進配当が示す株主還元の考え方

近年、私が特に注目しているのがDOEと累進配当です。以前は「配当性向30%」のように利益を基準に配当を決める企業が多く見られました。しかし利益は景気によって変動するため、一時的な業績悪化で減配するケースも少なくありませんでした。一方、DOEは株主資本を基準に配当を決める考え方であり、利益が一時的に落ち込んでも配当が急減しにくい特徴があります。もちろんDOEを採用しているだけで安心できるわけではありません。利益成長が止まり、自己資本を取り崩してまで配当を続ければ企業価値は低下します。それでも、DOEを採用する企業は「長期的に安定した株主還元を目指す」という経営陣の意思が表れている点で注目しています。
同様に累進配当も重要です。累進配当とは、原則として減配せず、維持または増配を目指す方針です。絶対に減配しない保証ではありませんが、この方針を掲げる企業は株主との約束を重視し、利益成長への責任を強く意識しているケースが多いと感じています。一方で、制度だけを評価するのではなく、その方針を支える収益力や財務余力まで確認することが欠かせません。
高配当利回りの背景にある減配リスク
高配当株投資では、配当利回りが高いこと自体が魅力とは限りません。株価が下落すれば、見かけ上の配当利回りは高くなります。しかし、その背景に業績悪化や減配懸念がある場合も少なくありません。
市場は将来を織り込みます。利回りが高いということは、市場がその配当の持続性に疑問を持っている可能性もあります。そのため、なぜこの利回りなのかを必ず確認することが重要です。
長期投資を考えるならなおのこと、現在の利回りよりも、5年後、10年後に配当がどれだけ成長しているかを重視するべきでしょう。例えば購入時の配当利回りが3%でも、利益成長に伴って毎年増配が続けば、購入価格に対する配当利回り、いわゆる取得価額利回り(Yield on Cost)は大きく上昇します。
反対に、購入時の利回りが6%でも、その後減配すれば長期の投資成果は期待ほど伸びません。つまり、高配当投資では、高利回りというだけでなく配当を育てられる企業を探すことが大切です。