はじめに
大型株からVTuber・ファンビジネスへ広がるIP関連の物色

株式市場では、一つのテーマが形成されると、最初は代表的な大型株が買われ、その後、中小型株へ物色範囲が広がることがあります。IP関連でも同じことが起こる可能性があります。
そこで注目したいのが、IPそのものを大量に保有している企業だけでなく、「IPを生み出す仕組み」や「ファンを収益化する仕組み」を持つ企業です。
ANYCOLOR:高利益率を支えるファンコミュニティ
例えば、VTuber関連ではANYCOLORやカバーがあります。
ANYCOLORはVTuberグループ「にじさんじ」を運営しています。VTuberというと、YouTubeで配信を行い、スーパーチャットやメンバーシップで収益を得る会社というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、現在のANYCOLORは単なる動画配信企業ではありません。
実際の収益源は、ライブストリーミングだけでなく、グッズ販売、ライブイベント、企業とのタイアップや広告案件などへ大きく広がっています。配信によってファンを獲得し、そこからグッズ、ライブ、広告、企業コラボへと消費行動を広げていくモデルです。
2026年4月期の売上高は556億8,100万円、営業利益は201億7,200万円となり、営業利益率は約36%に達します。すでに育てたVTuberやキャラクターの人気をグッズ、イベント、広告など複数の分野で活用できるため、事業規模が拡大すると高い利益率を維持しやすいです。
投資家としては、ANYCOLORを「VTuber会社」ではなく、「強いファンコミュニティを持つIP企業」と見る方が実態に近いでしょう。
カバー:グローバル展開とIPの多面化
続いてカバーです。カバーは「ホロライブプロダクション」を運営しています。ANYCOLORとの違いを考えるなら、カバーは特に「グローバル」と「IPの多面展開」を強く意識している企業です。
ホロライブは日本だけでなく、「hololive English」や「hololive Indonesia」など、海外向けのVTuberも展開しています。日本で作ったIPを海外へ展開するという点で、政府が目指している「日本発コンテンツの海外展開」と非常に相性のよい企業です。
カバー自身も、上場時から「VTuber事務所からIPビジネスへの拡張」を成長戦略として掲げています。配信でファンを作り、そこからイベント、グッズ、ライセンス、企業コラボへ収益を広げるモデルです。
2026年3月期の売上高は、ライブ/イベントおよびライセンス分野が全体を牽引し、493億3,000万円と前期比13.7%増となりました。一方、営業利益は70億5,600万円と同11.8%減となっています。タレント構成やコミュニティ環境の変化を背景に、配信および自社EC収益は短期的な調整局面にあり、棚卸資産の除却・評価減も利益を押し下げました。売上が伸びているのに利益が減っている点は、ANYCOLORとの違いとして見ておきたいところです。
ただし、これを単純に成長力の低下と見る必要はありません。カバーは現在、IP経済圏をさらに大きくするための投資を進めており、2026年7月23日にサービスを開始したスマートフォンゲーム「hololive Dreams」などを通じて、総合エンターテインメントIPへ広げようとしているようです。