はじめに

東京通信グループ:IPポートフォリオの育成段階

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3社目は、2026年7月9日に「ファンビジネス事業の成長戦略」を発表し、「IPポートフォリオ戦略による新たな成長ドライバーの創出」を打ち出した東京通信グループです。

同社は、まだIP・ファンビジネス企業としては育成段階にあります。もともとスマートフォンゲームなどのメディア事業を主力としてきましたが、現在はファンビジネスを新たな成長ドライバーとして育てています。IPポートフォリオ戦略は、一つの巨大IPに賭けるのではなく、複数の異なるIPやファンコミュニティを束ねながら事業規模を拡大しようとしています。例えば2026年7月1日には、アイドルグループ「WHITE SCORPION」に関する事業譲渡契約の締結を発表しました。

東京通信グループは従来から同グループを支援していましたが、事業譲渡によってファンビジネスの成長加速と収益力向上を目指すとしています。さらに7月27日には、子会社である株式会社パルマが、プロ雀士、タレントとして活動する岡田紗佳さんのオフィシャルファンクラブを7月26日に開始したと発表しました。こうした動きを見ると、アイドル、タレント、スポーツ・競技領域、クリエイターなど、それぞれ異なるファン層を持つIPを増やしていく戦略が見えてきます。複数の収益源を作ることができれば、一人のファンから得られるLTVを高められます。

また、ファンクラブの月額会費は、会員が継続している限り毎月収益が発生するストック型ビジネスです。現状ではファンビジネスの規模がまだ小さく、今後どこまで事業の柱になるかは確認が必要ですが、ゲームのヒットによる一時的な売上に比べると、継続率を高められれば収益の予測可能性が上がります。2026年1〜3月期では東京通信グループ全体の売上高は15億9,600万円、営業利益は5,600万円となり、ファンビジネスについても黒字化が進んでいます。8月12日に第2四半期決算を発表する予定です。

3社で異なる成長の確認ポイント

この3社を比較すると、私はかなり性格が違うと考えています。ANYCOLORを見るなら、「高い利益率を維持しながら成長できるか」、カバーを見るなら、「ホロライブを世界的な総合IPへ広げられるか」、東京通信グループを見るなら、「ファンビジネスを会社全体の利益を押し上げる規模まで育てられるか」など、見るべきポイントは異なります。

ただ、総じてファンビジネスの売上高がどの程度の速度で拡大しているか、契約IPやファンクラブが増えるだけでなく、既存IPからの売上が伸びているか、そして事業規模が拡大したときに営業利益率が上昇するかなどは重要です。特に中小型成長株では、売上以上に利益の伸びが株価評価を変えるケースがあります。例えばファンビジネスの売上が5億円、10億円と伸びる過程で営業利益率も上昇してくれば、市場からの見方が変わる可能性があります。

IP関連株の評価を左右する収益化と利益成長

現在のIP関連株相場では、IPを持っているというだけでは評価されにくくなってくると思います。

これから重要になるのは、ファンを増やせるか。一人のファンとの関係を長期間維持できるか。一つのIPから複数の収益を作れるか。海外へ展開できるか。そして、その売上が最終的に利益へつながるかです。

日本のコンテンツ産業には政策面の追い風が強まっています。ただ、政策によって最も恩恵を受けるのは「IP関連」という看板を掲げた企業すべてではなく、IPを実際に収益化できる企業でしょう。その意味では、すでに高収益モデルを確立している大手企業は強そうですし、中小型株まで視野を広げておくと、今後IP関連株への物色が広がった際の銘柄選択にもつながるのではないでしょうか。

(本記事は銘柄を推奨するものではありません。投資はご自身の責任でお願いいたします。気になった銘柄があれば、ご自身で調べてみてください。)

この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。

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