はじめに
・被災時のお金の備えは「いくら貯めるか」だけでなく「何をどの順番で使うか」が重要
・片付けや修理の前に写真を撮り、公的支援や猶予措置を確認して自費負担を抑える
・平時から家族で財産の全体像を把握し、「お金の使い方」に関する価値観を話しておく
災害への「お金の備え」と聞くと、緊急生活費や住宅の修繕費を貯めておくことを思い浮かべる方が多いでしょう。もちろん、手元に使えるお金を用意しておくことは大切です。ただ、万が一のときには金額ではなく、何を、何のために、どの順番で使うかという“使い方”がカギを握るケースもあります。災害時は、平時とは異なる公的支援や支払いの猶予などが設けられる場合があるためです。使えるからといって早々にご自身の財産を使ってしまうと、利用できたはずの制度が使えなくなることもあります。
もちろん、災害が起きたときに最優先すべきなのは命です。お金のことは後回しで構いません。しかし、命がつながったからこそ、生まれるお金の悩みもあるはずです。万が一のときに少しでもご自身の肩の荷を下ろすために、まず知っておきたいプロセスを見ていきましょう。
1.片付けや修理の前に、まず被害状況を記録する
家が被災すれば、一刻も早く片付け、修理したくなるのは自然なことです。しかし、そういった際にまずやっておきたいのが、被害状況の記録です(※安全確保や被害拡大を防ぐための応急措置が済んでいることを前提としています)。
家の被害の程度は、罹災証明書の認定や、その後の公的支援の内容に紐付きます。修理により被害状況が分からなくなると、スムーズな認定が難しくなる可能性があります。また、制度によっては、対象外になる場合もあります。
家の外観や室内、住宅設備、家財などを写真や動画に残しておきましょう。浸水した場合には、浸水の深さが分かる記録も重要です。具体的な撮影方法は、内閣府の政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」で図解されています。まずここを確認しておくとよいでしょう。
2.大きなお金を動かす前に、公的支援を確認する
次に確認したいのが、公的な支援制度です。ここでは、住まいの再建に関係する3つの制度をご紹介します。
災害直後の被害拡大を防ぐ「被災住宅の緊急修理」、日常生活に必要な部分を修理する「被災住宅の応急修理」、そして住宅に大きな被害を受けた世帯の生活再建を支える「被災者生活再建支援金」です。対象となる被害や支援方法、利用できる時期は異なります。それぞれの概要は以下の図表のとおりです。
図:内閣府等の資料をもとに筆者作成
細かいところまで覚えておく必要はありませんが、特に、以下の点は最低限押さえておくと役に立つことと思います。
・緊急修理・応急修理は、自費で支払うと対象外になりうること
・生活再建支援金は、被害の程度が支給額を左右すること
いずれも、事前に被害状況の記録と自治体への相談がカギとなる点は共通しています。時間の経過とともに災害の規模や法の適用決定、被害認定などを経て、利用できる制度が見えてくることもありますから、焦らないことも大切です。