はじめに
親の介護、そして自分の老後。「お金を使いすぎない」ための年金の話
60代になると、親が80代後半~90代を迎え、介護が「そろそろ」ではなく「今まさに」の課題になっている方も多いのではないでしょうか。
公益財団法人生命保険文化センターの調査(2024年度)によれば、介護には住宅改修や介護用ベッド購入などの一時費用として平均47万2000円、月々の費用として平均9万円(在宅介護5万3000円、施設介護13万8000円)、期間は平均55カ月(4年7カ月)かかるとされています。
親の介護は、親自身の資産や年金でまかなうのが原則です。自分の貯蓄や時間を注ぎ込みすぎると、今度は自分自身の老後・介護が手薄になってしまいます。「親の介護にお金を使いすぎない」という一線を、心のどこかに持っておくことが大切です。
自分の老後のためにできることの一つが、厚生年金への加入を続けることです。厚生労働省の調査(令和6年度)によると、女性の年金受給額は、厚生年金と基礎年金を合わせて月平均で約11万1000円である一方、国民年金のみの場合は月平均で約5万8000円にとどまります。
60代で厚生年金に加入して働き続ければ、その分だけ将来の年金額を増やすことができます。60歳以降に働きながら受け取る年金には「在職老齢年金」という調整の仕組みがありますが、老齢基礎年金は全額支給され、調整の対象は老齢厚生年金の一部のみです(2026年4月からは調整の基準額も51万円から65万円に引き上げられ、より働きやすくなります)。「親のため」だけでなく「自分のため」に働く時間を持つことも、忘れないようにしたいものです。
お金だけじゃない。健康と人とのつながりが、60代からの「備え」
60代からの安心は、お金の準備だけで作れるものではありません。まず何より大切なのが健康です。人間ドックや持病の通院など、体調管理にかけるお金や時間を惜しまないことが、結果的に医療費や介護費用を抑え、長く自分らしく働き続けることにもつながるでしょう。
もうひとつ欠かせないのが、人とのつながりです。親の介護でも、自分の老後でも、頼りになるのはお金だけでなく「情報」です。地域包括支援センターやケアマネジャーの評判、使える介護保険サービスや福祉制度の情報などは、身近な人との何気ない会話から得られることが少なくありません。
仕事中心だった人間関係を、少しずつ地域や趣味のコミュニティにも広げておくと、いざというときの相談相手ができ、孤立を防ぐことにもつながります。先ほど触れたシェアハウスのような住まい方も、家賃を抑えながら日常的な人付き合いを持てるという意味で、60代からの選択肢の一つと言えるでしょう。
貯蓄や年金といったお金の備えと、健康、そして人とのつながりという備え。これら3つをバランスよく持ちながら、これからの人生を安心して歩んでいきたいものです。
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