はじめに

分配金利回り10%前後の商品もあるカバードコールETF。高い分配金が期待できる一方、株価が大きく上昇する局面では、その上昇益を十分に取り込めないことがあります。カバードコール戦略の仕組みやメリット、注意点を整理し、NASDAQ100を対象とする2865と563Aの違いも解説します。


通常の株式ETFとは「利益の取り方」が違うカバードコールETF

ETFを探していると、「分配金利回り10%前後」といった、一般的な株式ETFと比べてかなり高い分配金利回りが期待できる商品を目にすることがあります。その代表例のひとつが、「カバードコール戦略」を使ったETFです。カバードコールETFは、株式を保有するだけではなく、「オプション取引」を組み合わせることで追加の収益を得ることを目指します。「オプション」と聞くと、投資初心者の方には少し難しく感じるかもしれません。ただ、仕組みそのものはそれほど複雑ではありません。

一方で、分配金利回りの高さだけを見て購入すると、「指数に投資したはずなのに、指数ほど値上がりしていない」ということも起こります。カバードコールETFは、通常の株式ETFとは「利益の取り方」が違う商品だからです。
今回は、カバードコールETFとはどのようなものなのか、メリットと注意点、さらに最近登場している新しいタイプの商品まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

カバードコールETFが分配金を生み出す仕組み

カバードコール戦略を簡単に表すと、株式を持ちながら、その株式が一定価格以上に上昇した場合の値上がり益の一部を手放す代わりに、あらかじめ収入を受け取る、という投資方法です。

ここで登場するのが「コール・オプション」です。コール・オプションとは、「将来、ある商品を決められた価格で買う権利」のことです。例えば、現在1万円の株を保有しているとします。

この株について、「1カ月後に1万500円で買う権利」を誰かに販売したとしましょう(コール売り)。その権利を販売する代わりに、売り手は代金を受け取ります。この代金が「オプション・プレミアム」です。株価がその後あまり上昇しなかった場合には、株式を保有したまま、プレミアムを収益として受け取れます。保険会社が保険加入者に対して、何かあれば保険金を支払う一方、何もなければ保険料を収益として受け取れるのと似たようなイメージです。

今回紹介するカバードコールETFでは、この仕組みを株価指数に対して行っています。

つまり、株式市場への投資+オプションを売却して得るプレミアムという2つを組み合わせて運用しているわけです。株価が一定の範囲で上昇すれば値上がり益を得ながら、あまり動かない場合でもオプション・プレミアムによる収益を狙えるわけです。通常の株式ETFの分配金は、主に保有企業から受け取る配当金が原資になりますが、カバードコールETFでは、株式からの配当に加えて、コール・オプションを売却することで得られる「オプション・プレミアム」が収益源になります。このため、一般的な株式ETFより高いインカム収益を狙いやすくなります。

カバードコールETFで特に重要なのがボラティリティです。ボラティリティとは、簡単にいえば株価の値動きの大きさです。値動きが大きい相場ほど、「将来大きく値上がりする可能性」も高くなるため、オプションの価格、つまりプレミアムも高くなる傾向があります。例えばNASDAQ100のような成長株やハイテク株を多く含む指数は、S&P500などと比較して値動きが大きくなりやすい傾向があります。その値動きをある意味「収益化」するのがカバードコール戦略と考えると、イメージしやすいでしょう。

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