はじめに

分配金利回りだけでは測れないトータルリターン

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カバードコールETFを見るときはどうしても「分配金利回り」に目が向きやすくなる、という投資家の方もいらっしゃるでしょう。ただ、私が特に注意したいと思うのは、分配金利回りだけで投資判断をしないことです。分配金は投資家にとって新しく生まれた利益ではなく、ETFの資産から外部に払い出されるお金です。

分配金が支払われれば、理論上、その分だけETFの基準価額は下がります。そのため、「年間10%の分配金が出たから10%儲かった」と単純に考えることはできません。重要なのは、分配金と基準価額の値動きを合わせたトータルリターンです。特に資産形成期の投資家であれば、分配金を受け取るたびに課税されることや、再投資の手間も考える必要があります。

なお、563Aや2865などのカバードコールETFは、ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を活用する商品であるため、NISAの対象ではありません。NISAでNASDAQ100に投資したいという目的であれば、通常のNASDAQ100連動商品とは分けて考える必要があります。

定期的なキャッシュフローを重視する投資家との相性

では、どんな投資家に向いているか考えてみましょう。カバードコールETFが比較的向いているのは、まず「値上がり益だけではなく、定期的なキャッシュフローも重視したい人」といえるのではないでしょうか。

例えば、すでに一定規模の金融資産を持ち、給与以外の定期的なキャッシュフローを得たい人や、リタイア後に資産を取り崩しながら生活する人にとっては、毎月分配型の商品は使いやすい面があります。

また、相場観として「NASDAQ100は長期的には成長すると考えているものの、今後はこれまでのような一方向の上昇相場ではなく、上下を繰り返す展開になる可能性もある」と考える投資家にも選択肢となります。

反対に、「20年、30年かけて資産を最大化したい」という若い投資家や資産形成の初期段階にある人の場合には、まず低コストの株式インデックスファンドなどをコア資産として積み立てる方がシンプルだと言えるのではないでしょうか。

カバードコールETFは、それを置き換えるものというより、ポートフォリオの一部として「インカム」という別の役割を持たせる使い方が考えられます。

高配当株ETFとは異なる分配金の源泉

最後に覚えておきたいのは、カバードコールETFと一般的な高配当株ETFでは、分配金の源泉が違うということです。高配当株ETFでは、主に企業が生み出した利益から配当金を受け取ります。一方、カバードコールETFでは、株価の「将来の値上がり余地」の一部を売ることで、オプション・プレミアムを受け取っています。
言い換えると、将来得られるかもしれない値上がり益の一部を、現在のキャッシュフローに変換しているとも考えられます。そのため、単純に利回りが高いから得だという商品ではありません。大切なのは、自分は値上がり益を取りたいのか、それともキャッシュフローを受け取りたいのかをしっかり考え、把握することです。

資産形成期であればNASDAQ100やS&P500などの成長をそのまま取り込む投資を中心に据える、ある程度資産が積み上がって定期収入を重視する段階になればカバードコールETFを一部組み入れる、NASDAQ100の成長も残しつつインカムも欲しい場合には563Aのような部分的にカバーするタイプを検討する、といった選択肢があります。自分の投資戦略に応じて、カバードコールETFが選択肢となり得るか考えることが重要だと思います。

この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。

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