はじめに
最大の落とし穴――1月に一度でも買付があると、変更は翌々年に先送り
変更手続きが2026年内に完了していれば心配はいりません。変更前のNISA口座は年明け2027年から新規買付ができない状態になるため、積立設定が残っていても注文はエラーになり、買付は成立しないからです。危ないのは、手続きが完了しないまま年を越し、その間に買付が成立してしまうケース。
このようなことが起きてしまう代表的な原因を2つご紹介します。
1つ目は、「積立設定の解除忘れ」です。証券口座のお金で買い付ける設定であれば、多くの金融機関で買付日の直前まで解除できます。しかし、クレジットカード決済の積立を利用している場合は注意が必要です。カード決済分は買付日のおよそ1か月前――前月の上旬から中旬に締め切られてしまうため、1月買付分を止めるには12月上旬〜中旬が期限という金融機関が多いのです。たとえば楽天証券は毎月12日、SBI証券は毎月10日が設定・解除の締切です。手続き未完了のまま、年末の慌ただしさの中でうっかり見過ごせば、それだけで変更が1年先送りになります。
もう1つが「分配金の自動再投資」です。保有投信を「再投資コース」にしていると、分配金が出た時点でNISA枠での自動買付が実行され、これも「その年の取引」と判定されます。とはいえ、オルカンやS&P500連動型など人気の投資信託の多くはこれまで分配金を出していません。分配金の出る投信を保有している人だけ、変更前の口座で年明けに分配金再投資の予定がないか確認しておきましょう。なお、再投資コース自体は複利運用の土台です。金融機関変更の予定がないのに、受取コースへ変える必要はまったくありません。
引っ越し後、以前のNISA口座は――非課税のまま残るが「売却専用」になる
変更が完了しても、元の金融機関に残した商品の非課税は失われません。2024年以降の新NISAで買った商品は無期限に、2023年以前の旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で買った商品はそれぞれの非課税期間が満了するまで、非課税で保有を続けられます。配当金や分配金、売却益も引き続き非課税です。
ただし、以前のNISA口座では新規の買付が一切できなくなり、「売却だけができる口座」に変わります。
なお、売却には知っておきたいルールがあります。生涯にわたる非課税保有限度額(1,800万円)は金融機関ごとではなく個人単位で管理されているため、新NISAで買った商品を売却すると、その取得価額分の枠が翌年に復活し、いま使っている変更先の金融機関で再利用できます。一方、旧NISAで買った商品は、この1,800万円とは別枠のため、売却しても新NISA枠は復活しません。
引っ越し後に気をつけたい2つのこと――口座の分断と、以前のNISA口座の放置
最後に、NISA口座の金融機関を変更する場合の注意点を2つ挙げます。
1つ目は口座の分断です。変更のたびに、過去の残高と新しい積立が別々の金融機関に分かれていきます。資産全体の配分が見えにくくなるため、年に1回はすべての口座の残高を書き出して棚卸しする、といった管理の工夫をおすすめします。
2つ目は以前のNISA口座の放置です。とくに旧NISAの商品を残している人は、非課税期間の満了時期を必ず確認してください。満了を放置すると商品は自動的に課税口座へ払い出され、思わぬ課税につながることがあります。
金融機関変更は、頻繁に変更すればそれだけ手間も増えますし、魅力的な条件がいつまでも続くとは限りません。長く付き合っていけそうな金融機関かどうかを確認してから、手続きを行いましょう。
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