はじめに

直近の若者需要が確保できなくなったという業界事情

これが日本人観光客が海外旅行に出かけようとしても「宿がとれない」現象の原因です。

実際にここ数年、日本人の海外旅行者数は微減が続いているのですが、宿がとれず海外旅行を断念するというこの傾向が定着していけば旅行会社も売上減少トレンドが定着することになります。それでは困るということで、新規需要を掘り起こす必要が出てきたわけです。

狙いどころとしてはスケジュールに比較的余裕のあるシニア層でしょう。まだ宿が埋まっていない半年先のようなスケジュールでも、法事か同窓会でもないかぎり予定を空けることができるのがシニア層の強み。

だったらその層の需要を押さえてしまおうというのが、この旅行会社の早割戦略なのです。

われわれにとっての教訓は何か?

われわれ一般の消費者はこの情報をどう捉えておくべきでしょうか?

一つは旅行業界に投資をする場合、このトレンドはネガティブトレンドであるという点を念頭に置くことです。要するに海外旅行をビジネスとする航空会社、旅行会社に逆風が吹いているということですから、この問題を乗り越えられるかどうかを見極めておかないと、近い将来、減収減益というニュースが飛び込んできて株式で大損ということが起きる危険性があるということです。

もちろん業態によって影響は違います。国内のホテルや国内を主力とする旅行会社ならば海外からのインバウンド需要で儲かるという逆のトレンドになるわけです。しかし、国際線の航空会社や海外旅行が主力の旅行会社の場合、「行きたいけれど宿がない」ということで売上機会を逃してしまう会社が出てくるということは、未来の業績について明らかな黄色信号です。

もう一つ、消費者としてもいち早い動きが必要です。今年の年末は海外で過ごそうと考えている方、10月に入ってからでは計画が遅いかもしれませんよ。なにしろライバルは人数がわれわれの7倍もいるのですから。

この記事の感想を教えてください。