はじめに

【記事の要点】
リースバックは自宅売却後も住み続けられる一方、契約トラブルが増加中
2026年10月施行の新ガイドラインで、賃貸借条件の十分な説明が必須に
契約条件を踏まえ「家賃を払い続けられるか」自身の資金計画の見極めが重要

「自宅を売却してまとまったお金を受け取りながら、そのまま住み続けられる」。

そんなしくみとして知られる「リースバック」。老後資金を確保したい、住宅ローンの返済が難しくなってしまったという場合に、選択肢のひとつとなりうるものです。

一方、リースバックをめぐっては、家賃や契約期間、買い戻しなどについて「思っていた条件と違った」という契約内容の誤解によるトラブルが近年増加。高齢者への押し買いも見られ、令和7年度の相談件数は214件と3年連続で200件を超えています。こうした状況を受け、国土交通省は「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を策定。2026年10月1日から施行しました。

10月以降、何が変わったのでしょうか。リースバックを検討するときの注意点とともに見ていきます。


リースバックとは? 「自宅を売って住み続ける」しくみ

リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却し、その買主と賃貸借契約を結ぶことで、売却後も家賃を払いながら同じ家に住み続けられるしくみです。自宅を現金化しながら、今の住環境を維持できることが、大きな特徴です。

ただし、自宅を担保にお金を借りる「不動産担保ローン」とは異なります。売却した時点で所有権を失い、「かつての持ち家」に「借りて住む」かたちに変わるためです。

固定資産税や修繕費などの負担が減る一方、新たに家賃の支払いが発生します。賃貸借契約の内容により、住宅の改修や設備の設置に制限を受けたり、希望する期間住み続けられなかったりする場合もあります。

「売却できた」で一安心できない

特に注意したいのが、契約が非常に複雑である点です。リースバック契約は売買契約と賃貸借契約の二本組みの契約となっています。10月に施行されたガイドラインでも、対象となるリースバックでは、住宅の「売買」とその後の「賃貸借」は不可分一体であると整理されました。

売買契約は売却代金を受け取ったあと終了する一方、賃貸借契約が始まります。家賃の支払いは続き、将来上がる可能性もあります。売却代金が底をつき、後から家賃の支払いが困難であることに気づいても、売買契約とは別の問題です。両方の契約内容を事前にしっかりと理解しておく必要があります。

たとえば、自宅を1,500万円で売却し、その後の家賃が月15万円だったとしましょう。単純計算すると年間家賃は180万円。つまり、家賃に換算すると、売却代金は約8年4か月分相当です。当面の生活費の不安からリースバックを利用したとしても、住む期間が長くなるなら、その不安解消にはつながらないことがわかります。

比較的検討しやすいのは、数年後の住み替えなど、今の家を退去する時期とその後の住まいがある程度見えているケースでしょう。売却代金を何に使って、家賃の支払いをどのように工面していくのか、それを何年続けるのかという出口まで先読みして考える必要がある点で、難しい契約と言えます。

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