はじめに

老後の楽しみは人それぞれですが、多くの人に共通するのが「食事」です。毎日の食事は人生の満足度を大きく左右します。健康で長生きするためにも、おいしく食べられることは何よりの幸せではないでしょうか。私の父は現在100歳で、田舎で一人暮らしをしています。父の食生活を見ていると、食事を楽しむことが健康や自立した生活につながっていると感じます。


100歳まで元気に生きる人の食習慣

私の父は、毎朝6時頃に起きると、鳩にエサをやり、そのまま散歩に出かけます。歩く距離は約3000~4000歩。この年齢でこれだけ歩ける人は珍しいと思います。

7時過ぎに帰宅すると、今度は朝食の準備です。ご飯に焼き魚(大根おろしとショウガ付き)、納豆には卵、ネギ、ちりめんじゃこを入れて100回ほどかき混ぜます。さらに漬物を添え、食卓の準備に約1時間をかけます。一人暮らしなので、これらをすべて自分で用意しています。

昼食は、うどんや焼き芋などの軽めの食事です。夕食は冷凍食品を上手に活用し、ウナギの蒲焼きやハンバーグ、カレーなどを温め、ご飯と漬物を添えます。食後には、自宅で増やしているカスピ海ヨーグルトを食べるのが日課です。決して豪華ではありませんが、栄養のバランスは比較的よく取れている食生活だと感じています。

厚生労働省の「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」では、百寿者の食生活に関する調査結果が紹介されています。その結果を見ると、長寿の人には次のような共通点がありました。

規則正しく3食食べること、腹八分目を心がけること、緑黄色野菜を積極的に食べること、魚や肉、卵などのたんぱく質をしっかり摂ることです。また、百寿者を対象とした別の調査では、乳製品を多く食べる食事パターンの人ほど、生存期間が長い傾向が見られたそうです。さらに、ビタミンKを多く摂っている人ほど、変形性膝関節症が少ないという調査結果もあります。ビタミンKを多く含む食品の代表が納豆です。

こうした調査結果を父の食生活と照らし合わせてみると、多くの共通点があることに気づきます。もちろん、それだけで100歳まで元気に暮らせるわけではありません。しかし、毎日の食事が健康を支えていることは間違いないように思います。

料理をしない男性は早死にする?

同報告書には、「食事を取り巻く状況」に関する興味深い調査もあります。

女性は年齢が上がるほど、「買い物が大変」という悩みが増えます。重い荷物を持つことや、坂道や階段の移動が負担になるからです。一方、男性では「料理ができない」「料理がわからない」という問題が目立ちます。また、男女ともに献立を考えることや料理のレパートリーが少ないことも課題として挙げられています。

さらに興味深いのが、「料理をしない人」「買い物をしない人」の死亡リスクを調べた研究です。料理や買い物を日常的に行っている人ほど、死亡率が低いという結果が報告されています。

特に男性の場合、現役時代は妻に任せきりだった人が少なくありません。「男子厨房に入らず」という時代を過ごしてきた世代だからでしょう。しかし、定年後は事情が変わります。料理ができることは、健康を維持するだけでなく、自立した生活を続けるためにも大切な力になるのです。

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