1月18日、日経平均株価が一時、2万4,000円台を突破しました。1991年11月以来、約26年2ヵ月ぶりの大台回復となりました。企業業績も好調そうですので、当然といえば当然なのですが、この先の景気動向を占ううえで参考になるのが「企業の倒産情報」です。

信用調査会社の東京商工リサーチが2017年通年の倒産状況をまとめたレポートを1月16日に発表しました。これによると、2017年1~12月の倒産件数は8,405件。前年が8,446件でしたので微減、前年比でマイナスになるのは9年連続です。

負債総額は、2016年が2兆0,061億円だったのに対し、2017年が3兆1,676億円。6割近く増えた計算になります。これは自動車用安全部品大手のタカタが民事再生手続きの開始を申し立て、その負債総額が1兆5,024億円もあって、1社で引き上げているからです。

タカタの分を差し引くと、負債総額は1兆6,652億円になりますから、17%ほど減った計算になります。それでは倒産件数も負債総額も減って景気は安泰かというと、そうとも言い切れないのです。


月次では件数がプラスの月が増加

まず、負債総額の前年比はもう少し細かく見る必要があります。2017年、タカタに次ぐ規模だったのはジャパンライフで2,405億円でした。3位以下は数百億円規模になってしまうので、この2社分を差し引いて計算してみると、負債総額は1兆4,247億円です。

2016年はタカタ級の大型倒産はなく、突出して大きいのがパナソニックプラズマディスプレイの5,000億円くらい。それ以下は数百億円規模でしたから、これを前年実績から引いてみると1兆5,061億円です。

1件当たりに引き直してみると、2016年が1億7,830万円で、2017年が1億6,950万円です。件数も1件当たりの金額も小幅ながらマイナスです。これを素直に喜んでいいかというと、そういうわけでもなさそう。

年間を通せば件数は前年比マイナスですが、月によっては前年比プラスの月が増え始めているのです。具体的には3月、5月、7月、9月、10月の合計5ヵ月です。

2016年は2月、8月、12月の3ヵ月。2015年は3月と12月の2ヵ月。2014年も4月と9月の2ヵ月。2013年はゼロでした。

増加に転じた都市部の倒産

さらに、都道府県別では東京、大阪、兵庫が8年ぶり、愛知が6年ぶりに前年比で増加に転じました。神奈川は2年連続での前年比プラスです。

倒産の形態別でいうと、破産や民事再生、会社更生や特別清算といった法的手続きをとった倒産が、倒産件数全体の91.8%を占めました。中でも破産は法的倒産全体の93.3%を占め、負債総額は1億円未満が77.8%を占めています。

つまり、負債総額が1億円に満たない小規模な会社による破産申し立てが増えているということなのです。

小規模な会社の破産の手続は、実はとても簡単です。そもそも破産という手続きは、返済ができなくなった債務者が、とことん追い込まれて死を選ぶようなことがないよう、裁判所が間に入って、現金化できる資産があるうちに現金化し、その範囲内で債権者には勘弁してもらいましょうという手続きです。

地方都市では世間体を気にして破産に踏み切りにくいということはあるようですが、大都市部では隣は何をする人ぞ、です。

倒産件数減は底を打った?

この統計ではカウントしていませんが、地方では破産ではなく廃業を選んでいるということはあるでしょう。破産という裁判所が間に立つ手続きをとらなくても、当事者間で話がついたり、あるいは債務者が夜逃げしてしまえば、倒産件数には現れてきません。

以前は約束手形を使う決済が一般的でしたが、今では手形の流通量はずいぶん減っています。たとえば、1月末までに振り込みで支払いをしなければならないけれど払えない、という場合、手形を債権者に渡していなければ、支払いができなくても手形が不渡りになるということもありません。

手形の不渡りが6ヵ月以内に2度出れば銀行取引停止処分となり、倒産件数にカウントされますが、手形を使わず、法的手続もとらなければ、「倒産」件数にはカウントされないのです。

2011年に亀井静香・金融担当大臣(当時)の進言で誕生した中小企業金融円滑化法(金融モラトリアム法)は、東日本大震災で打撃を受けた中小企業を救う目的で、金融機関への返済を当面棚上げにさせました。

あれからもうすぐ7年です。メガバンクから地方銀行、信金信組に至るまで、ありとあらゆる金融機関は、安易に債権回収に入るのではなく、中小企業を再生させよと言われ続けてきていますので、返済スケジュールの組み直しには何度も応じてきています。

結果、“隠れ不良債権”は相当な額に上っているのではないかという説を唱える専門家もいます。都市部での倒産件数増は、長く続いた倒産件数の減少傾向がすでに底を打ったということを明示しているのかもしれません。