はじめに
鬼は外、福は内――。豆まきが行われる2月3日の節分の日に食べる「恵方巻き」。その年に最も縁起が良いとされる方角を向いて、黙って1本丸ごと食べるのが慣例です。
もともとは関西を中心に根付いてきた風習でしたが、ここ最近は“黙って丸ごと食べる”よりも、家族みんなで楽しむものとして、関東でも定着してきました。
こうした流れを受けて、流通各社は毎年、趣向を凝らした商品を販売しています。右肩上がりの売り上げを記録する恵方巻きですが、今年はどんな商品が売れているのでしょうか。
金箔巻きは1本1万5000円
見るからに豪華絢爛。金箔を張り付けた海苔で巻き上げた恵方巻き(冒頭写真)を売り出すのは、大丸東京店です。
中身も豪華で、本マグロやとらふぐ、のどぐろなど高級食材が18種類も入っています。仕上げにキャビアが乗せられた「2018年18種類の十八番(オハコ)巻き」は限定10本、税込み1万5,000円と、超意欲的な価格設定です。
大丸東京店では、ほかにも定番の海鮮巻きをはじめ、左右で異なる食材を配置し1本で2種類の味が楽しめる「ハイブリッド巻き」、「洋食屋 たいめいけん」「崎陽軒」などの有名店が恵方巻きに独自のアレンジを加えた「イノベーション巻き」など、今年は150種類を展開します。
「恵方巻きの売り上げ伸び率は、全国の大丸の中でも東京店が1番だと思います。歴史が浅い分、恵方巻きを食べてみようというチャレンジ精神が旺盛なのかもしれません」(営業推進部PR広報担当の宮川香織さん)
売り上げは4年で2.5倍に拡大
昨年、東京店で売れた恵方巻きの数は約1万7,000本。今年は1万8,000本を用意します。
惣菜・弁当担当の鈴木徹マネジャーは「ひとつひとつ手作業で作っているので、どれだけ多く巻けるかに懸かっています。今年は昨年よりも早く、当日の未明から仕込みを始めます」と意気込みを語ります。
年を追うごとに盛り上がる恵方巻き商戦に、今まで参戦していなかった店舗からも「こんなにお客さんが来るなら、うちでもやらせてほしい」という声が上がっているといいます。
東京店の恵方巻きの売り上げは、2014年からの4年間で約2.5倍に拡大。それでも「需要の伸びしろはまだあると感じています」(鈴木マネジャー)。
「縁起物ということもありますが、恵方巻きはここ数年で最も上り調子な『食のイベント』です」と宮川さんは話します。
3つ星の名店が監修する恵方巻き
総合スーパーのイオンが今年イチオシの恵方巻きとして販売するのは、7年連続でミシュランの3つ星を獲得した「鮨よしたけ」監修の「極(きわみ)海鮮太巻」(税込み3,240円)です。
7年連続ミシュラン3つ星獲得の「鮨よしたけ」監修、「極海鮮太巻」
煮あなごや漬けまぐろなど、厳選した12種類の素材を厚焼き玉子と海苔で包み込みました。昨年は完売する店舗が相次ぎ、今年も引き続き販売される「極恵方巻」(税込み1,058円)のワンランク上の恵方巻きです。