はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

私は下記のように年率10%弱くらいで自分の資産を運用していきたいと考えています。もし無茶な目標だと思われましたら、その点も踏まえてアドバイスをお願い致します。
私は現在、年収900万円、資産1800万円を持つ29歳独身会社員の男です。資産の半分程度は日本株、四分の一程度は新興国の債券、残りは外国株のETFや普通預金にしています。私の生活はあまり派手ではないため、資産は毎年自然と増えている状態です。資産を1億円くらいまで増やしてそれを10%くらいで回し、不労収入を得て、仕事は趣味的にやる生活を目指しています。
現在の保有資産は日本株の比率を高めてありますが、今後は5~10%くらいで回せる新興国の外貨建て債券をメインの投資先としようと考えています。また、今のところ結婚の予定はありません。お付き合いする女性は私と同水準の収入のある同業者が多いので、もし結婚するときもそのような相手になる可能性が高いと思います。
(20代後半 独身 男性)


内藤: ご質問ありがとうございます。金融資産に分散投資しながら、資産を年10%で運用していくという方法は、基本的には理にかなっていると思います。ただし、次のような点を確認してみてはいかがでしょうか。

1. 日本株や外国債券の運用方法

日本株や外国債券などに分散投資しているということですが、運用の手法はアクティブ運用なのでしょうか。それともインデックス運用なのでしょうか。金融資産でインデックスを上回る運用成果を長期で実現することは極めて難しいとされています。

例えば日本株の運用成績に関して、同じ期間のTOPIXの運用利回りと比較してみてください。金融資産の運用に関しては基本はインデックス運用にするのが良いと思います。

2. 実物資産への投資

不動産のような実物資産への投資を行っていないようですが、検討しても良いと思います。日本国内であれば、借入を使ってレバレッジを掛ける投資が可能ですし、海外不動産の場合は、為替差益と現地の価格上昇による「掛け算」の収益が期待できます。

もちろん投資ですし、高いリスクはありますが、金融資産だけではなく実物資産を組み合わせることによって、投資の成果をさらに高めていくことができるはずです。

3. アセットアロケーションの方法

資産配分の方法ですが、為替リスクに関しては資産のおそらく40%程度は外貨になっているので問題ないと思いますが、株式に関しては日本株に偏重し、外国株式への資産配分が少ないのが気になります。

好調な日本株の恩恵を受けるということで、日本株を重視しているというのは理解できますが、将来的にはアセットアロケーションについて、よりバランスのとれた配分方法を検討すべきです。

4. インカムゲインへのシフト

将来的に不労所得(インカムゲイン)で生活していくことを考えるのであれば、不動産や債券の比率を高めていくことになると思います。

資産運用に正解はありませんが、できるだけ広い投資対象を検討して、それらをバランス良く組み入れていくのが基本です。マーケット環境によってはリターンがマイナスになることもあると思いますが、長期で成長していくポートフォリオを構築して、目標を実現していってください。

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