はじめに
国鉄時代から続く35年以上のロングセラーきっぷとして人気のあるのが、全国のJR線の快速・普通列車の普通車自由席が1日乗り降り自由となる「青春18きっぷ」です。若者の旅を応援しようと企画されたフリーきっぷで、学生の春・夏・冬休み期間を中心に年3回の期間限定発売となっています。きっぷ名は「青春18」ですが、年齢に関係なく誰でも利用できるのが魅力です。
今回はこのきっぷのおトクな使い方や注意点、裏ワザを紹介します。
快速・普通列車の普通車自由席限定
全国JR線の快速・普通列車の普通車自由席およびBRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーが、利用期間中の1日乗り降り自由となるきっぷです。別に特急券やグリーン券を購入しても、新幹線や特急・急行列車、グリーン車指定席は利用できず、利用区間の乗車券が別に必要となります。快速・普通列車の普通車自由席限定となりますが、別に指定席券を購入すれば快速・普通列車の普通車指定席、普通列車用グリーン券を購入すれば快速・普通列車のグリーン車自由席が利用できます。
土讃線坪尻駅に停車中の普通列車
また、第三セクター鉄道も基本的に利用できませんが、青い森鉄道線・あいの風とやま鉄道線・IRいしかわ鉄道線の一部区間では、JR線への通過利用に限り利用できます。なお、奥羽本線「新青森~青森間」、石勝線「新得~夕張間」は、当該区間内相互発着の場合に限り、特急・急行列車の普通車自由席に乗車できます。JR九州の宮崎空港線「宮崎~宮崎空港間」および佐世保線「早岐~佐世保間」(2018年3月17日以降)に限り、特急列車の普通車自由席に乗車できます。
※第三セクター鉄道…第三セクター方式で設立された会社が運営する鉄道(軌道)、またはこれを運営する鉄道事業者(軌道事業者)である。
きっぷは5回(人)分が1券片制
きっぷは1券片制(1枚のきっぷ)で、5回(人)まで利用できるものです。値段は1万1,850円(おとな・こども同額)、1回あたり2,370円となります。
同一行程であれば複数人のグループで使用できますが、きっぷは1枚のみですので駅改札口の入出場は全員が一緒となります。1人で5回使うか、2人で2回+1人で1回使うか、5回分の使い方は自由ですがきっぷは1枚のみという点は要注意です。
とはいえ、自分が3回使用して余った分は誰かにプレゼントできます。3回で元を取っていれば、プレゼントされた人はまるまるおトクに旅ができるというものです。
なお、乗車日が翌日にまたがる列車を利用した場合は、0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効です。ただし、東京・大阪の電車特定区間内(中央線・山手線・大阪環状線など)では最終電車まで有効となります。
春・夏・冬の発売期間とは?
年3回の発売は「春」が2月20日~3月31日、「夏」は7月1日~8月31日、「冬」は12月1日~12月31日です。利用期間は「春」が3月1日~4月10日、「夏」は7月20日~9月10日、「冬」は12月10日~1月10日となります。発売期間と利用期間の間にはずれがあり、特に利用期間の最後の10日間は発売がないので注意が必要です。
全国のJRの主な駅、JRの旅行センターおよび主な旅行会社で発売しますが、発売時間は発売箇所により異なります。早朝の列車で旅立つ場合は、事前に「青春18きっぷ」を購入しておくことが必要です。
どこまで乗ればおトクになるのか?
1日あたり2,370円ですので、片道利用する場合は幹線の営業キロで141キロ以上(2,590円)、往復利用する場合は幹線の営業キロで71キロ以上(1,320円)がおトクになるラインといえます。
東京駅から東海道本線の片道利用なら吉原駅以遠、往復利用なら二宮駅以遠でおトクとなります。東海道本線・山陽本線は快速・普通列車の運転本数が多く、東京駅発5時20分の普通列車に乗車すれば、名古屋駅に11時12分(片道6,260円)、大阪駅に14時13分(片道8,750円)、広島駅には20時28分(片道11,660円)に到着します。途中で何度も乗り換えが必要ですが、所要時間が約6時間の東京~名古屋間の片道で3,890円、往復なら7,780円も浮くことになります。
※営業キロ…JR各線の幹線または本州3社及びJR北海道の地方交通線のみをご利用になる場合の運賃計算に用いるキロメートル数です。また、特急・急行料金などの料金の計算や割引条件・有効期間などにもこのキロメートル数を使います。