はじめに

フロアごとに異なるターゲット

それでは、1階の核テナントで集めたお客さんは、その後にどんなフロアへ向かう仕掛けが施されているのでしょうか。

1つ上の2階には、シャンテ側にファッションやライフスタイルの店舗を、日比谷公園側にはトレンド発信型の飲食店を配置しました。「TATRAS&STRADA EST」「A.P.C.」など、メンズ・レディースといった性別にとらわれず、カップルで一緒に買い物を楽しめる店舗が多いのが特徴です。

逆に、地下鉄日比谷駅に直結する地下1階には、もう少しカジュアルなフードコートを設置。三信ビルのアーチ型の天井デザインを継承したクラシカルな空間が広がる横に、オイスターバーやスパニッシュバル、ベトナム料理など、業態の違う8つの店を集めました。


3階には理容室が併設された一風変わった空間が広がる

3階には、情報発信型のライフスタイルショップをそろえました。中でも注目は、クリエイティブディレクターの南貴之氏と書店の有隣堂がプロデュースした複合型店舗「HIBIYA CENTRAL MARKET」です。理容室、メガネ店、コーヒースタンド、居酒屋など、7つの異なる店が集まり、ノスタルジックでエッジの立った路地裏のような空間をつくり出しています。

4・5階には、映画や演劇が楽しめるエンターテインメントの聖地である日比谷の歴史を受け継ぎ、シネコン「TOHOシネマズ日比谷」が入ります。11スクリーン約2,200席という都心最大級の規模に、皮張り・仕切り付きのプレミアムラグジュアリーシート(追加料金3,000円)を備え、ワンランク上の空間で映画を楽しむことができます。


隣の席との間に仕切りの付いているプレミアムラグジュアリーシート

街全体で集客を目指す

東京ミッドタウン日比谷の来街者数の目標は初年度に1,200万人。六本木の本家ミッドタウンが3,000万人なので控えめに映りますが、店舗数は六本木の半分程度なので、それに見合った目標にしたそうです。

ただし、豊蔵室長が「日比谷の街全体を楽しんでいただけるようにしたい」と言うように、シャンテなど周辺の商業施設も含めた日比谷全体では、六本木に遜色ない規模の集客を目指しています。

銀座や丸の内、虎ノ門など周辺エリアが次々と開発され話題に上る一方で、影の薄かった日比谷。好立地に東京ミッドタウン日比谷のオープンが重なり、新しい風を吹き込むことができるのでしょうか。

(文:編集部 土屋舞)

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