はじめに
成城石井に足を運んだことがある人なら、「プレミアムチーズケーキ」(税抜き790円)を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
昨年、成城石井で取り扱うすべての商品の中で最も売れた大ヒット商品であり、発売から10年以上経った今もなお売れ続けているロングセラー商品でもあります。
スイーツをはじめ惣菜やパンなど、最大で1万点以上の商品が店頭に並ぶ中で、成城石井史上最高の売り上げを誇るプレミアムチーズケーキの秘密に迫ります。
そして、成城石井のパティシエがおすすめする、今季いちおしのオリジナルスイーツをご紹介します。
成城石井史上No.1の売り上げ
2003年に発売されたプレミアムチーズケーキは3層からなる濃厚なチーズケーキです。きび砂糖を使用したスポンジ生地の上に、クリームチーズをベースにローストアーモンドとレーズンを加えたチーズ生地をのせ、表面にサクサクとしたシュトロイゼルを散りばめて焼き上げます。
2007年に成城石井のデザート部門で売り上げ1位を獲得。その後も着実に売り上げを伸ばし続け、今では取り扱うすべての商品の中で売り上げトップを誇る大人気商品に成長しました。
開発を手がけたのは、フレンチの名店「マキシム・ド・パリ」出身のパティシエで、セントラルキッチン製造部・菓子グループ長の光野正三さん。
「プレミアムチーズケーキを完成させたときに手ごたえを感じましたが、まさかここまでご支持いただける商品になるとは想像していませんでした」と驚きを口にします。
年間90万本近くを売り上げる現在も、ほとんどすべての工程において、1つ1つ手作業で丁寧に作っています。成城石井の店頭に並ぶ商品の中でも、驚くほど手間がかかっているもののひとつだそうです。
手作りだから出せる“おいしさの秘密”
「本当においしく、安心できるものをお客様に召し上がっていただきたい」。その思いを実現するために、手間と時間をかけ、手作りの味にこだわっていると光野さんは話します。
たとえば、プレミアムチーズケーキは濃厚な生地を作るため、手間を惜しまずオーブンで2回焼き上げます。1回目はスポンジを、2回目はチーズを絞り込んで、その上にシュトロイゼルをかけて焼き上げます。そうすることで、シュトロイゼルがクッキーのようにサクサクとした食感になるそうです。
ローストアーモンドは、スライスした生のアーモンドを毎日約1時間かけてローストしています。このひと手間があることで、パリパリとしたおいしい食感を出すことができるといいます。
上にかけられたシュトロイゼルも、もちろん手作り。バターとアーモンドプードルをたっぷり入れることによって、コクがあり風味豊かな味になるように仕上げています。
原材料は可能な限り、成城石井が調達する食材を使用。「自分たちの目の届く材料を使用することで、余計な添加物などを気にすることなく、安心でおいしいお菓子作りをしたいと考えているためです」と光野さん。
この季節のいちおしスイーツ3選
成城石井が手間暇かけて手作りする商品はプレミアムチーズケーキだけではありません。菓子グループ長である光野さんに、今の季節におすすめのスイーツを教えてもらいました。
①「成城石井自家製 生プレミアムチーズケーキ」¥399(税抜き)
成城石井で売上1位の人気スイーツ 自家製プレミアムチーズケーキがカップデザートになりました。「自家製カスタードクリームに、クリームチーズと生クリーム、レーズンとアーモンドスライスを入れた生地をメインにし、その上に生クリームとシュトロイゼルを飾りました。仕上げに粉砂糖を振りかけています。一口食べるとプレミアムチーズケーキの味が思い浮かぶ、レアチーズケーキタイプのカップデザートです」(光野さん)
②「成城石井自家製 アフォガート風コーヒーゼリー」¥270(税抜き)
アイスクリームにエスプレッソコーヒーをかけて食べるイタリアのデザート「アフォガート」を成城石井風にアレンジ。「アラビカ種のコーヒー豆を使用したほろ苦い味わいのコーヒーゼリーの上に、生クリームにグラニュー糖を加えて泡立てたクレームシャンティーをトッピング。さらに、牛乳、卵、グラニュー糖などで作った、カスタードのようなアングレーズソースを流しました。最後に、コーヒーの粉とパールクラッカンというパフをチョコでコーティングしたものを飾っています。コーヒーゼリーと、ソース、クリームのハーモニーをお楽しみいただける大人向けのスイーツです」(光野さん)
③「成城石井自家製 濃厚マンゴープリンのパッションフルーツゼリーがけ」¥359(税抜き)
マンゴープリンの上に、ごろごろとカットしたマンゴーキューブとパッションゼリーを飾りました。「濃厚で甘酸っぱいおいしさが特長です。マンゴープリンの濃厚さとパッションフルーツの酸味のハーモニーをお楽しみいただけます」(光野さん)
口コミだけで1位に上りつめた実力派
今でこそ不動の地位を築いたプレミアムチーズケーキですが、発売後すぐにスターダムにのし上がったわけではありませんでした。
広告宣伝費などは一切使わずに、スタッフが店頭でおすすめすることで、少しづつリピーターを獲得してきたのです。すると徐々に口コミを中心に評判が広がり、売り上げも着実に伸びていきました。デザート部門で1位に上りつめたのは発売から5年後のこと。
「購入後に『おいしい』と思って、贈り物としてご活用いただいた方や、リピーターになってくださった方が多くいらっしゃったのではないかと考えています」と、セントラルキッチンの自家製商品をはじめとしたお惣菜やスイーツを管轄する惣菜課の小林さゆりさんは話します。
プレミアムチーズケーキの開発にあたり、「『成城石井といえばコレ!』という、他のどこにもないような看板商品を作りたい」という思いで考案したと、光野さんは当時を振り返ります。その言葉通り、今では成城石井で1番の売り上げを誇る主力商品へと成長しました。
“本物の味を届けたい”という思いから、手作りにこだわり、手間を惜しまずに作られているプレミアムチーズケーキ。その知られざる一面を知れば、より一層格別な味わいを感じることができそうです。
(文:編集部 土屋舞)