はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

夫婦共働きで、私は年収550万円、妻(会社員)は年収450万円です。何にどれぐらい使っているかをマネーフォワードを活用して把握してるつもりですが、うまくいきません。マイホーム購入のため、35歳までに1,000万円を貯めたいのですが、なかなか貯められません。固定費を下げることも考えましたが、格安携帯にする以外に何から手をつけてよいかわかりません。アドバイスよろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・男性、30歳、既婚、子供なし
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:48万円
・毎月の支出目安:36万円


花輪: 世帯の手取り月収が48万円で毎月の支出目安が36万円ということなので、月12万円の余裕資産があるはずです。それなのに貯まらないというのは理由があるはず。次の3つを考えてみてください。

高収入なのに貯まらない理由

(1)固定費の割合が高い

固定費はざっくりと手取り月収の50%以内を目指しましょう。たとえば、家賃は手取り月収の30%以内です。相談者の場合は共益費も入れて月16万円までですね。子供がいる家庭は教育費の目安として15%程度、保険料、自動車維持費など全部含めて50%程度に収めると家計が回りやすくなります。

(2)臨時支出やイベント費など特別支出の管理が甘い

旅行、買い物、交際費(クリスマスやお正月など)、税金の支払い(固定資産税や自動車税)など、毎月発生しない特別支出の管理が甘いと、月々は貯められているつもりでもイベントが発生すると貯金が減ってしまいます。

毎月だけではなく、年間の支出も把握をしましょう。マネーフォワードで1年以上管理をしていれば年間で発生する支出も把握できるはずです。

ボーナスがある人は、ボーナスなどの特別収入を特別支出に当てるようにしてください。ボーナスがない場合は月々から特別支出費用を積み立てましょう。備える目安額は手取り月収の10%程度です。相談者の場合は4万8,000円(年58万円)程度ですね。この特別支出費用は、手をつけてはいけない将来のための貯金とは隔離をして、プール用のお金として貯めましょう。

ボーナスがない場合、手をつけてはいけない将来のための貯金として月収の10〜20%を貯めましょう。DINKSの場合は合算して手取り月収の30%程度を貯めることも可能なはずです。

プール用のお金は貯蓄預金など引き出しやすい口座に置いておくことが望ましく、手をつけてはいけない将来のお金は引き出すのが難しい形で貯めましょう。たとえば、確定拠出年金、財形貯蓄、銀行の積立定期預金なども選択肢の1つです。コツは貯金口座をプール用と貯める用と2つ以上作ることです。

(3)雑費が多い

毎月なんとなく貯まらないという人は、小遣いなどの雑費が多い可能性があります。ブランド物に興味がないという人も、ちょこちょこ1万円前後の洋服や小物などを買っているという場合も多いです。1万円でも5つ買って、積み重なれば5万円です。高価なブランドバッグや時計などを計画的に買う方が、いざとなったら換金できるので資産として残るかもしれません。

夫婦でライフプランを立てる

夫婦でお金のことやライフプランについて話し合うことも大切です。マイホーム購入のため、「35歳までに1,000万円を貯めたい」という目標があることは素晴らしいです。5年後に1,000万円ということなので、仮に現在500万円の貯金があるのなら、1年間で100万円ずつ貯めていけば達成できる計算ですね。

毎月に換算すると約8万円になります。現在、余裕資金が月12万円程度あるので、自動天引きで積み立てるなどの仕組み作りをしましょう。

また、子供ができたら一番お金がかかるのは子供の教育費です。私立の学校に行くとなると、子供の年齢にもよりますが、月に10万円前後かかる場合もあるからです。

30歳ということは定年まで30〜35年あります。手取り600万円の年収がそのままと仮定すれば、退職金を入れて、2億円程度稼ぐことができます。計画的にお金を使っていけば、マイホーム購入、子育て、老後資金作りなどを十分に行うことができるはずです。

子育て前の夫婦共働きの現在、まだ余裕があるうちに、まずは財形貯蓄や積み立て定期などでもよいので、自動的に貯まる仕組にするのが一番です。

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