はじめに

最大9連休のゴールデンウィークが終わると、来週末の5月13日には「母の日」がやってきます。常日頃お世話になっている母親に感謝を伝える日ですが、日本で始まったのは1931年と、かなり歴史のあるギフトデーです。

母の日ギフトの定番といえば花。中でもカーネーションが最もポピュラーでしょう。しかし、毎年同じプレゼントでは、どんなに感謝の気持ちが込められていても、マンネリ化してしまうもの。

そこで、母の日ギフトの商戦も定番から手を変え品を変え、進化しているようです。最新のトレンドはどんな贈り物なのか。そして、マンネリを脱して本当に喜んでもらえるプレゼントとは、どんなものなのでしょうか。


母親に気持ちが伝わっていない現実

楽天が20~30代の男女400人(子供世代)と50~60代の女性200人(母親世代)を対象に実施した意識調査によると、「母の日に贈り物をしたことがある」と答えた子供世代は88.8%と、高い比率となっています。

一方、「感謝の言葉やメッセージをもらったら嬉しい」と回答した母親は93.0%に上った反面、「子供が大人になってから感謝の言葉やメッセージをもらっていない」と答えた母親は69.1%に達しました。

この結果が意味しているのは、多くの人が母の日に贈り物をしているのに、感謝の気持ちやメッセージが伝わっていない、という残念な現実です。ギフトはモノではなく、心を贈ることにその本質があるはず。ですが、実際にはそうなっていないようです。

どうすれば感謝の気持ちやメッセージが伝わる贈り物になるのでしょうか。こうした現状をとらえて、ギフトの現場ではさまざまな変化が起き始めています。

“脱カーネーション”の動き

顕著な動きの1つが、「母の日の花=カーネーション」という定番が崩れ始めている点です。実際、検索エンジンに「母の日 カーネーション」と入力すると、サジェスト候補に「カーネーション以外」と出てきます。

フラワーギフトサイト「イイハナ・ドットコム」を運営する千趣会イイハナの二ノ宮博士さんは、最近の母の日のフラワーギフト事情を次のように説明します。

「8年ほど前から、カーネーション以外の花が売れ筋ランキングに現れるようになりました。2018年の直近売れ筋ランキングでは、1位がアジサイの鉢植えです。カーネーションより一回り大きいボリュームで、箱を開けた時のサプライズ感があります。ほかには、大きめのユリの花も好評です」

また、「母の日 プレゼント」と検索すると、「花以外」という検索候補も出てきます。ここから「花単品ではない、組み合わせギフトを贈りたい」というニーズも見えてきます。

私が経営しているフルーツギフトサイトでも、「フルーツ&花」というセット販売に加えて、写真や一筆箋同梱サービスを提供しています。「毎年花単品を贈るのに飽きたから」と言われるお客様もおり、贈り先のお母さんからも「部屋に飾った花を見るたび、おいしいフルーツの事を思い出す」と好評です。

お手入れ不要のヒットギフト

母の日ギフトの定番である花そのものも、独自の進化を見せています。SNS人気の波に乗り、驚異的な売り上げの伸びを示しているフラワーギフトが登場しました。

それが「ハーバリウム」という、特殊なオイルにドライフラワーを漬け込んだ植物標本です。水の中をフワフワと漂い、基本的にお手入れいらずで、部屋のインテリアとして人気を博しています。楽天市場における母の日ギフト売上高は、2015年からの3年で約5,600倍と急伸しました。

これまでの母の日ギフトは生花ゆえに、開花時期が過ぎた後の手入れが大変でした。それがハーバリウムであれば、受け取ったままの状態で長期保存できるとあって、大ヒットしたわけです。


お手入れ不要で人気のハーバリウム

このハーバリウムを自分で作ることで母親に感謝の気持ちを伝えたい、という動きもみられます。

ネットショップや大きめの雑貨店などでは、ハーバリウムの手作りキットが売られています。ボトルやオイル、ドライフラワーにギフトパックがセットになったもので、届いたらハーバリウムを自作して、プレゼントできます。

どこかで買ってきたものをそのまま渡すと、気持ちが込められていないと取られる可能性はあります。しかし、自分で作ってプレゼントするのであれば、感謝の気持ちは伝わりそうです。

きちんと気持ちを伝える手段

もちろん、ハーバリウムのDIY以外にも、きちんと気持ちを伝える手段は存在します。それは写真やメッセージを活用することです。

前述の通り、筆者の経営するギフトショップでは、大半のお客様がメッセージを活用しています。ギフトとともにメッセージを受け取ったお母さんが「花もフルーツもうれしいけど、何よりメッセージがうれしかった」と喜んでくれた、というお知らせを毎年いただいています。

ギフトはあなたの代わりに気持ちを伝えてくれる“伝達役”です。ギフトメッセージを添えるだけでも、しっかりとあなたの気持ちを母親に伝えてくれるのです。

母親が何より求めているのはモノではなく気持ちだということは、冒頭の意識調査でも明らかになっています。今年の母の日ギフトで、あなたの気持ちがお母さんにも伝わることをお祈りしています。

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